免疫学者の山本雅博氏率いる日本の研究チームは、免疫系を抑制する特定のT細胞を減少させることでがんを抑制する方法を開発した。
大阪大学微生物病研究所の山本教授らは、細胞を抑制して低下した免疫活性を刺激する方法をマウスを使った実験で開発した。彼らの研究結果は金曜日、米国の科学誌サイエンスに掲載された。
山本教授は「自己免疫疾患を引き起こさない新たな免疫療法につながる可能性があるので、創薬に取り組んでいきたい」と述べた。
人間は免疫機能を利用して、体内に侵入するがん細胞や有害な微生物を倒すことができます。しかし、過剰に強い免疫力は自己免疫反応を引き起こしたり、自分自身の体組織に対する攻撃を引き起こす可能性があります。
人間の体内では、通常、免疫を刺激する免疫細胞と免疫にブレーキをかける細胞がバランスよく働いています。しかし、がん組織には後者のタイプが多く含まれるため、がんが増殖しやすくなります。
山本教授らのチームは、マウスのがん組織内で、Th1-Tregとして知られる制御性T細胞の一種がPF4と呼ばれる物質を使って数を増やしていることを発見した。研究チームは、PF4を阻害する中和抗体を投与することにより、Th1-Tregが減少し、免疫を駆動する細胞がより活性化し、それによってがんの増殖が抑制されることを発見した。
PF4 レベルが高いがん患者は生存率が低いことが知られています。
山本教授は「ヒト用のPF4に対する中和抗体を発見したので、製薬会社の協力を得て臨床試験を実施したい」と述べた。
Th1-Treg だけが制御性 T 細胞の種類ではありません。すべての種類を除去すると自己免疫疾患が引き起こされるが、Th1-Treg だけを除去しても問題が生じる可能性は低いと研究チームは述べた。