ホーム Fuji 日本の製造業、拠点を郊外に移転、効率性やコミュニケーションの改善を目指す

日本の製造業、拠点を郊外に移転、効率性やコミュニケーションの改善を目指す

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読売新聞
東京・浜松町にある東芝の本社。9月までに川崎に移転する予定。

通常は東京の本社で行っている中心的な業務を、開発や生産に重点を置く郊外の拠点に移転するメーカーが増えている。

自社でサプライチェーンを持つ企業同士の連携を強化し、意思決定の迅速化や業務効率化を図るのが狙いだ。テレワークの普及で本社勤務の必要性も減っている。

東京・浜松町に本社を置く東芝は先月、新たな中期経営計画を発表した。その中で、2025年9月末までに本社機能を本拠地の川崎に移転する計画を盛り込んだ。同社は1984年、社名を「東京芝浦電気」から変更した際に現在の場所に移転した。川崎拠点は現在、製品の企画・開発を行っており、移転により経営業務を現場に近づけるとともに、賃借料の削減も図る企業再編の一環である。

昨年末に社外から副社長に就任した池谷浩二氏は「東芝は長年の混乱で、本社と事業部が連携する姿勢を怠ってきた。今こそ立て直しの時だ」と語った。

オリンパスも4月に本社を東京・新宿から東京西部の八王子にある研究開発拠点に移転した。同社は、移転により内視鏡などの医療機器を扱うエンジニアと営業担当者のコミュニケーションがより密になると述べた。テレワークの普及により、オフィスで働く従業員の数も減少している。

テレワークの普及により出社率が低下し、企業がオフィススペースを縮小できるようになったことも移転を後押ししている。

富士通は現在、東京・汐留の本社に経営管理や事業部門の拠点を置いている。同社は9月末までに、人工知能(AI)の研究開発拠点がある川崎市に移転する予定。同社はコロナ禍以降もテレワークを継続しており、オフィス勤務者の割合は2割程度にとどまっている。

横浜ゴムは2023年3月、本社を東京・新橋から生産拠点のある神奈川県平塚市に移転する。移転に伴いオフィスから遠方に住む社員向けに、机やプリンターなどのテレワーク費用を補助する「在宅勤務制度」を導入した。

かつては、企業の顧客訪問をしやすくするため、メーカーは東京都心に本社を置いていたが、テレワークやオンライン会議の普及に伴い、こうしたオフィスの必要性は低下している。

メーカーの経営に詳しい早稲田大学の小山内篤教授(経済学)は「東京都心の一等地に本社を置くことが信用につながるという意識は変わってきている。家賃などのコストと業務の効率性を比べて、都心部から離れた場所に本社を移転する企業が増えている」と話す。



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