ホーム jpn 日本の株価急落の背後にある「日銀ショック」

日本の株価急落の背後にある「日銀ショック」

14
0


日本銀行の予想外の利上げとタカ派的な姿勢を受けて急激に円高が進んだことが、日経平均株価の最近の急落が世界市場の急落を上回る主な理由であると広く考えられている。

円相場が落ち着き始めたことから、株式市場は落ち着きを取り戻すとみられる。しかし、米国経済の先行きが不透明なため、日経平均株価が40,000円台に回復するかどうかは不透明だとアナリストらは指摘する。

SMBC日興証券の投資調査部副部長太田千尋氏は、月曜までの3日間の下落で日経平均株価が約7,600ポイント下落した原因は「日銀ショック」にあると述べた。

日経平均株価は、中央銀行が7月31日に政策金利を0.25%前後に引き上げたことを受けて、月曜日に1日当たりの下落率としては過去最大の4,451.28ポイントを記録し、12.4%下落した。

2024年8月5日、東京・丸の内のビジネス街で歩行者が金融モニターを見ている。日経平均株価は前日の終値から4,400ポイント以上下落し、1日の下落率としては過去最大となった。(共同通信)==共同通信

7月初めに1ドル162円台と37年ぶりの安値に下落した円は、上田一男総裁が追加利上げの可能性を示唆したことを受けて、月曜日には141円台まで急騰した。

米国の雇用統計が予想を下回ったことを受けて米国の景気後退の可能性に対する懸念がさらに高まり、世界的なリスク回避ムードの中、株式の売りがさらに加速した。また、9月に利下げに踏み切るとみられていた連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和策を講じるのに時間がかかりすぎたのではないかとの懸念も一部で広がっている。

「日本株の下落の約70%から80%は円高によるもので、米国経済への懸念は約20%から30%を占めている」と太田氏は語った。

円高は日本の輸出業者の海外収益の価値を低下させ、企業収益に大きな打撃を与えるとの懸念につながるため、株価に直接影響を及ぼしている。

「小売業などかつては国内企業とみなされていた企業でさえ、今では収益のかなりの割合を海外から得ているため、日本の上場企業の収益構造は円高によって非常に悪影響を受けやすい」と同氏は述べた。

アナリストらによると、日経平均株価の下落のもう一つの要因は、低金利通貨を借り入れて高金利通貨に投資するキャリートレードと呼ばれる人気の投資戦略の解消だ。

近年、日本の超低金利により円は資金調達通貨として好まれてきたが、日銀の予想外の利上げにより、円を借りるのはもはやそれほど安くはなくなった。

アナリストらによると、借り入れた投資家は円高により追証請求に直面し、保有資産を世界市場で売却して円を購入しポジションを解消せざるを得なくなり、円がさらに上昇した。

しかし、UBSの日本マクロストラテジスト、ジェームズ・マルコム氏は、最近の日本株暴落について日銀に過度の責任を負わせることには慎重で、むしろタイミングが単に不運だっただけだと述べた。

大阪市の金融データスクリーンには、2024年8月5日の午後の取引で日経平均株価(225銘柄)が4,700ポイント以上急落したことが示されている。(共同通信)==共同通信

「これは日本だけの問題ではなく、上田氏がタカ派的なサプライズを出したからというわけでもない」とマルコム氏は語った。「キャリートレードはすでに解消しつつあり、その後、(米国の)非農業部門雇用者数報告が弱かったことが大きな後押しとなった」

一方、日経平均株価の歴史的な一日の下落は過剰に見え、機関投資家やヘッジファンドがコンピュータープログラムを通じて迅速に売買注文を出すアルゴリズム取引がさらにこれを悪化させたと指摘する声もあった。

東海東京情報研究所の主任株式市場アナリスト、鈴木誠一氏は、こうした行為は金融機関によるストップロス売り注文と個人投資家による証拠金不足による強制売りによって「取引の連鎖反応」を引き起こしたと述べた。

「記録的な下落は衝撃的だったが、過剰反応だった。円高とキャリートレードだけによるものであれば、市場はここまで反発しなかっただろう」と同氏は述べ、翌日の日経平均株価が史上最大の上昇で反発したことに言及した。

「実際にそうなったということは、取引自体が極めてテクニカルなものとなり、ファンダメンタルズに見合わない価格に達したことを示唆している」と鈴木氏は付け加えた。

数日間の混乱の後、日本株式市場はやや安定した模様で、内田慎一日銀副総裁がさらなる利上げに慎重な姿勢を示したことを受けて、金曜には円が1ドル=147円台まで下落した。

最悪のボラティリティは過ぎ去ったとの見方が一般的だが、日経平均株価が金曜日時点の35,000円から7月11日に記録した過去最高値の42,224.02円に向かって上昇するかどうかについては不確実性が残っている。

バークレイズ証券の調査部長、門田真一郎氏は「日銀がハト派的な姿勢を取れば、若干の円安につながる可能性がある」と述べた。

「しかし、世界的なリスク回避の傾向と米国経済の状況の方がより重要な要因だ。これらの分野が安定しない限り、完全な回復には時間がかかるかもしれない」と同氏は付け加えた。


関連報道:

日銀副総裁、金融市場が不安定な時は金利引き上げせず

日本は4月に円高に過去最高の1日当たり5.92兆円を費やした

日本政府と日銀は市場の不安定さに警戒、緊密に連携






もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください