2024年5月23日 6:00(日本時間)
公正取引委員会が、荷主と運送会社間の不公正な取引を取り締まる下請法の改正に向けて取り組むことが分かった。 トラック運転手不足による輸送力の低下が見込まれる物流業界の「2024年問題」を踏まえた措置。
荷主と運送業者間の取引は現在、下請法の適用除外となっている。公正取引委員会は、こうした取引にも下請法を適用できるよう法改正を目指している。
同法が改正されれば、優越的な交渉力を悪用して運送会社に支払う取引価格を不当に低く抑える荷主を迅速に取り締まることが可能になる。
法改正により、運送会社がコスト増加分を取引価格に転嫁しやすくなるとみられる。
自民党の研究会などが近く政府に法改正を提言する。 政府は来年の通常国会での法改正を目指している。
荷主は運送会社よりも強い立場にあることが多いですが、下請法では荷主と運送会社の間には明確な下請関係はないと定められています。
たとえば、消費者が電化製品を購入する場合、電化製品小売業者は荷送人として、有料で商品を消費者の自宅に配達する運送業者を手配します。 下請法では、荷主は消費者と運送業者との取引を「仲介」するだけであり、下請関係には該当しない。
企業が取引関係のある部品メーカーから部品を購入する場合も同様です。 部品メーカーが荷主として配送業者を手配し、同社に製品を届ける取引であり、下請法の適用除外となる。
政府は荷主と運送業者の取引を下請関係とみなす法改正を予定しており、公取委は荷主と運送業者の不公正な取引を積極的に取り締まることになる。
法改正案は、航空会社が増加したコストを取引価格に転嫁し、賃上げ資金を確保できる環境を整えることも目的としている。 これにより、物流業界が直面しているドライバー不足の緩和に貢献します。
中小企業庁の調査によると、コスト上昇分の取引価格転嫁率はトラック運送が24%で主要業種の中で最も低い。
同庁によると、荷主が人件費やガソリン価格の上昇を反映した取引価格の受け入れを拒否したり、荷主の都合で運転手が積み下ろし場所で待機する時間に対する支払いを拒否したりするケースが出ている。