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日本、農業分野への排出削減取引事業を拡大へ、フィリピン、ベトナムに間欠灌漑方式を提供へ

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提供:Green Carbon Inc.
昨年4月、フィリピンでメタンガスの排出を抑えるために水が抜かれた後、水田は乾いたままになっている。

政府は今夏、二国間排出権取引制度の下で、農業部門初の排出量取引プロジェクトを開始する予定だ。このプロジェクトでは、日本がフィリピンとベトナムに温室効果ガス排出削減技術を提供し、削減された排出量に応じたクレジットを受け取ることになる。

計画されているプロジェクトは、農業分野では世界初の二国間貿易スキームとなる。温室効果に大きく寄与するメタンガスの排出を削減するとともに、日本企業の海外事業拡大を促し、農業の脱炭素化市場で主導権を握ることを目指す。

このプロジェクトは、日本が2013年に導入した二国間クレジット制度を通じて実施される。この制度では、技術の共有によって達成された温室効果ガス排出削減の一部が日本の分量に加えられ、「クレジット」として発行される。これまでに日本はフィリピンやベトナムなど29か国とJCMパートナーシップを締結している。これまでのところ、この制度を通じて行われた取引のほとんどはエネルギー分野で、農業分野はなかった。

農林水産省によると、プロジェクトには大手農機メーカーのクボタなど日本企業が参加する見込み。日本は、田んぼに水を張ったり干したりを繰り返す間欠かんがい方式をフィリピンやベトナムに提供し、削減できた温室効果ガスの一部をクレジットとして受け取る。クレジットは脱炭素化に取り組む国内外の企業に販売され、収益の一部は地元農家に還元される。

世界の農地からの温室効果ガス排出量の 48% は水田によるものです。温室効果ガスのうち 94% はメタンで、大気中の熱を二酸化炭素の 25 倍も閉じ込めます。世界の米生産量の 90% を占めるアジアでは、水田からのメタン削減が大きな課題となっています。

間欠灌漑とは、稲の生育中に頻繁に水を抜いて田んぼを乾燥させる方法です。土壌中のメタン生成菌の活動を抑制し、メタンガスの排出量を減らすことが目的です。ベトナムの水田での実験では、単位面積あたりの排出量が約40%削減され、米の生産量が約20%増加しました。

政府などは、水田で削減できる温室効果ガスの量はフィリピンで年間約320万トン、ベトナムで約1400万トンと試算。クレジットの市場価値は合わせて約200億円とみられる。

政府は、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現することを目指している。その目標に向け、農業分野の二国間貿易をより多くのアジア諸国に拡大する考えだ。

農業におけるメタン発生源として牛のげっぷも挙げられますが、世界全体では水田の4倍のメタンを排出しています。日本では、牛のげっぷからもメタンを削減する研究が活発に行われています。こうした技術も、JCMを通じて他国と共有されることが期待されています。



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