ホーム Fuji 日本、臓器提供拒否防止に向け一歩を踏み出す。収益性の低さが病院が手術を行わない要因に

日本、臓器提供拒否防止に向け一歩を踏み出す。収益性の低さが病院が手術を行わない要因に

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読売新聞ファイル写真
厚生労働省が入っている建物

3つの大学病院が心臓移植手術を準備する計画は、大きな負担がかかっている医療移植制度の緩和に向けた重要な一歩となる。

医療移植はこれまで利益率の低い分野であり、移植手術を始めようとする病院はほとんどなかったため、今回の展開は移植を待つ患者にとって朗報である。

東京医科歯科大学は来年度にも心臓移植センターとしての登録を申請する予定だ。

「東京大学は関東地方の移植医療の重い負担を担っている」と同大学の心臓血管外科の専門家である藤田智之教授は言う。

同大は今年、ドイツや移植実績が豊富な国立循環器病研究センターに心臓外科医や循環器内科医を派遣し、経験を積んだ。また、学内のタスクフォースでマニュアルの作成や定期的な研修会も進めており、2025年4月には移植医療部門を新設する予定だ。

日本心臓移植学会の最近の調査によると、東京大学医学部附属病院は2023年に脳死患者からの心臓提供を15件断った。今月行われた別の調査では、病院が臓器提供を断ったために手術を受ける機会を失った患者5人が、いまだに移植を受けていないことが明らかになった。

「東京医科歯科大学が移植手術の実施を認可され、実際に手術が行われれば、東京大学の負担は軽減される」と心臓外科の専門家である東京大学の小野実教授は言う。「人事交流や教育など、できる限りの協力をしていきたい」

厚生労働省は18日、移植を待つ患者が複数の医療機関で手術を受けるための登録ができる制度を創設する方針を発表した。例えば、東大での移植が困難になった場合、東大病院と連携している東京医科歯科大学で手術を受ける選択肢が患者に与えられる。

地域格差を埋める

中国・四国地方には心臓移植センターがなく、これらの地域に住む患者が移植を希望する場合は、大阪大学や九州大学などの病院に登録する必要があった。

岡山大学には肺、肝臓、腎臓の移植ができる施設がある。2013年に大学病院で心臓移植が1件行われたが、施設運営の要件変更に伴い登録対象から外れた。

岡山大学心臓血管外科の笠原真吾教授は「大阪大学や国立循環器病研究センターと緊密に連携し、まずは年間5件程度の移植を目指したい」と語った。

愛媛大学病院は今春、心臓移植実施施設として登録され、移植に必要な体制を整えるなど準備を進めている。

ハードル

心臓、肺、肝臓の移植手術のほとんどは国公立の医療機関で行われており、移植センターとなる準備を進めている3大学も国立大学だ。

病院が臓器移植を行わない理由の一つは、収益性の低さだ。休日や夜間も含めて常に十分なスタッフを揃え、手術室を稼働させておくには費用がかかる。長期入院患者を抱えると病院が負債を抱える可能性もある。

「心臓移植を行うことは私たちの夢であり、社会貢献の一環です」と東京医科歯科大学病院の藤井康久院長は語った。

もう一つの理由は、移植チームを組む際に、さまざまな専門性を持った人材を育成するのに時間がかかることです。安全な移植には、外科医だけでなく、麻酔科医、内科医、看護師、臨床工学技士などが必要です。

読売新聞

2023年の脳死臓器提供は過去最多の132件、心臓移植は115件。厚生労働省の研究チームは、国内で同年に脳死の可能性がある患者が少なくとも1万人いると推計しており、努力すれば提供者が大幅に増える可能性もある。

5月時点で、日本では心臓病患者842人を含む1万6000人以上が移植を待っている。

臓器提供拡大に取り組んできた労働者健康安全機構顧問の有賀徹氏は「移植施設が増えても、社会貢献という使命を病院側の良心に頼る現状では、いずれ医療現場は疲弊してしまう。国が財政支援など強力なバックアップをすべきだ」と指摘する。



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