ホーム Fuji 日本、脱炭素化実現に向け新たな研究炉開発を推進へ。原子力発電を「最有力候補」に据える

日本、脱炭素化実現に向け新たな研究炉開発を推進へ。原子力発電を「最有力候補」に据える

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読売新聞ファイル写真
2021年5月、福井県敦賀市にある高速増殖原型炉「もんじゅ」の敷地。この敷地には新たな研究炉が建設される予定だ。

科学技術省が、新たな研究炉の開発を促進し、次世代の先進炉建設に向けた技術基盤を強化するための措置を策定していることがわかった。

原子力科学技術政策の方向性の概要によると、同省は原子力を目標達成の「最有力選択肢」と見なしており、この動きはカーボンニュートラルとグリーン変革の実現を狙っている。

方針は7月に開かれる文部科学省の原子力科学技術委員会で決定される見通し。昨年閣議決定された「グリーン変革の実現に向けた基本方針」に沿って、原子力科学技術の将来像を明記する。

大綱は、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰している現状に触れ、「原子力科学技術はエネルギー、技術、経済、安全保障などの観点から極めて重要」と強調。省は来年度予算の概算要求に関連経費を盛り込む見通しだ。

同省は、放射線の一種である中性子を使った実験を行うための新たな研究炉の建設を加速する方針だ。既存の研究炉の多くが老朽化などで廃止が進んでおり、新たな研究炉の建設が急務となっている。

新たな研究炉は、廃止措置中の高速増殖原型炉「もんじゅ」の跡地(福井県敦賀市)に建設することが決まった。大綱では、それまでの間、候補地の地質調査など具体的な準備を進めるとしている。

次世代の先進炉は、既存の原子炉よりも安全性が高く、燃料処理の効率も高いと期待されている。現在開発が進められている原子炉には、プルトニウムなどを効率的に処理できる高速炉や、原子力発電だけでなくクリーンエネルギーである水素も生産できる高温ガス炉などがある。

大綱では、稼働していない日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の燃料を、こうした次世代新型炉で製造する方法も検討するとしており、26年度半ばの再稼働を目指している。

反応の熱を利用して水素を製造する高温ガス炉については、同じく大洗町にある高温工学試験研究炉で、2030年ごろにガス炉と水素製造設備を連携させる技術を開発する目標を掲げた。



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