ホーム Fuji 新作映画は強制不妊手術被害者の苦しみを描く。『沈黙の50年』は日本の優生保護法の歴史を探る

新作映画は強制不妊手術被害者の苦しみを描く。『沈黙の50年』は日本の優生保護法の歴史を探る

31
0



映画「沈黙の50年」製作委員会提供
女性が説明なしに手術を強要される場面

神戸 — 障害者の強制不妊手術を認めた日本の旧優生保護法が、最近完成した映画の主題となっている。

映画「沈黙の50年」は、兵庫県明石市の聴覚障害者小林孝治さん(92)と妻の生涯を描いた作品。子どもを産み育てる権利を奪われた人々の苦しみを、インタビューや再現ドラマで描き出す。


The Yomiuri Shimbun
Takaji Kobayashi

小林さんは1960年に妻の喜美子さんと結婚した。結婚後すぐに妊娠がわかり、夫婦は赤ちゃんを心待ちにしていた。男の子か女の子かはわからないが、どちらでもいいと思っていた。しかし、突然家族から「赤ちゃんは腐っている」と告げられた。喜美子さんは病院に運ばれ、中絶を余儀なくされた。その後も孝治さんと喜美子さんは赤ちゃんを待ち続けたが、願いはかなわなかった。

優生保護法は「劣等な子孫の出生を防止する」目的で1948年に制定された。96年に改正され母体保護法となるまで、全国で約2万5000人の障害者が不妊手術を強制された。

旧優生保護法下での強制不妊手術問題は、2018年1月以降、メディアで頻繁に取り上げられるようになった。強制手術の事実を多くの人に知ってもらいたいと、夫婦は身元を公表し、同年9月に国に損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。

66分間の映画は、夫婦の辛い体験を描いている。若い頃をドラマ化したシーンもあり、小林氏本人が映画に出演し、手話で当時の苦難を証言している。

地裁は21年8月、不妊手術は認めたものの、時間が経ちすぎているため請求権は失ったとして損害賠償請求を棄却。高裁は23年3月、国に賠償を命じた。国は最高裁に控訴している。

「元の体を返して。赤ちゃんを返して」とキミコさんは訴え、2022年に89歳で亡くなるまでその要求を繰り返し、訴訟の勝利を見ることはなかった。

「私は聴覚障害のために不当な扱いを受け、常に忍耐と諦めの気持ちで耐えてきました。映画を通して私が経験した苦しみを人々に伝えていきたいです」と小林さんは語った。

映画は6月4日に神戸で上映され、その後6月29日に東京・大田区など全国各地で上映される。



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください