ホーム Fuji 敦賀原発再稼働反対 活断層、不信が再稼働阻む

敦賀原発再稼働反対 活断層、不信が再稼働阻む

18
0


事業者が再稼働を目指す原発で、原子力規制委員会が再稼働を認めないのは初めてとなる見通しだ。廃炉を迫る重大決定であり、日本のエネルギー政策への影響は避けられない。

東日本大震災以降停止している日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の安全審査を進めてきた原子力規制委員会の審査チームは、再稼働は認めないという結論を出した。

原発敷地内には早くから「K断層」と呼ばれる断層の存在が確認されている。この断層が将来的に地震を引き起こす可能性のある活断層なのか、原子炉の直下まで伸びているのかどうかが問題となっていた。

NRAはこれらの点について「可能性は排除できない」と述べた。

震災後にできた新規制基準では、原子炉の直下に活断層がある場合は運転できないとしており、規制委はこれを厳格に適用して判断したといえよう。

原電が2015年に安全審査を申請してからすでに9年近くが経過した。原電と規制委が、断層の評価に関する実質的な議論よりも、書類の不備など形式的な問題で時間を浪費したように見えたのは避けられない。

19年には原電が提出した資料に多数の誤りが発覚。さらに20年には原電が規制委に無断で掘削調査資料を書き換えていたことが発覚し、審査が停止。活断層をめぐる議論が再び本格的に始まったのは昨年9月以降だ。

規制委が再稼働を認めない判断を下したのは、度重なる対応の誤りに対する日本原子力発電への不信感も大きく影響した可能性がある。

原電は規制委の判断に反し、追加調査や安全審査の再申請、書類の修正などを続ける方針だ。説得力のある新たなデータを集められるかどうかが焦点となる。

一方、規制委は、高い安全性を追求する立場から審査の継続には否定的だ。敦賀原発の地下構造は複雑で、活断層がないことを完璧に証明するのは難しいとされている。

原子力規制委員会と原子力発電委員会は、双方が受け入れられる科学的結論に達するために対話を続ける必要がある。

すでに24基が廃炉となり、27基が安全審査中。審査済みの原発のうち17基は再稼働が認められ、うち12基は既に再稼働している。残る5基も安全対策に取り組むなど再稼働に向けた準備を進めている。北陸電力志賀原発など10基は審査が続いている。

稼働中の原発基数の見通しは、日本のエネルギー政策の根幹に関わる問題だ。安全性に配慮しながら、審査を急ぐべきだ。

(読売新聞2024年7月27日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください