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年金財政の現状検証:年金制度への加入者を増やし、国民の信頼を高める

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少子化が進み、公的年金の加入者も減少しています。年金制度を安定的に運営するためには、どのようなことが必要ですか。

政府は早期に対策を検討し、制度に対する国民の信頼を高める必要がある。

厚生労働省は5年ごとに年金財政の実態を検証する報告書を公表した。経済見通しなどを踏まえて将来の年金給付額を推計し、課題を見極めるのを目的としている。

男性会社員と専業主婦の妻がともに65歳になったモデル世帯を例に、年金受給額を現役世代の手取り収入の「50%以上」に維持できるかどうかが焦点となる。

財政検証では、平均経済成長率をマイナス0.1%と仮定した場合、60年度の年金受給額は50.4%、月額21万4千円になるとの見通しを示した。平均成長率を1.1%とすると、夫婦の受給額は57.6%、月額33万8千円に増える。

現在、現役世代の男性の平均手取り額は月額37万円で、年金給付はその61.2%にあたる月額22万6千円だ。財政検証によると、将来の支給水準は現在の61.2%よりは低くなるものの、法律で定められた「50%以上」は維持される見通しだ。

5年前に行われた調査では、最も高い成長率を想定しても、年金支給額の見込み水準は51.9%にとどまりました。

5年前と比べて将来見通しが改善したのは、女性や高齢者の就業が進み、働く女性などが年金制度に加入し、保険料を納める人が増えたことで年金財政が改善したことや、最近の株価上昇により年金積立金が好調に推移したことなどが要因とみられる。

しかし、財政検証はあくまで試算に過ぎない。

政府は、自営業者などが加入する国民年金の保険料納付期間を5年間延長し、64歳までとすることを検討していた。

しかし、政府は今回の財政検証で厚生年金の将来見通しが予想以上に良好だったことから、国民年金の負担増への反対が強まることを警戒し、検討を見送る方針だ。

確かに、保険料の納付期間を5年間延長すると、保険料の負担総額は100万円になります。一方で、今後受け取れる国民年金の給付額は年間10万円程度増えると見込まれているそうです。

年金制度は老後の生活を支える基盤だ。政府は制度安定化の意義を丁寧に説明し、負担への理解を求めるべきだ。

共働き世帯が増加するなど、財政検証のモデル世帯は今の日本の実態を反映していないとの指摘もある。現役世代の関心を高めるためにも、政府は世帯像の見直しを図るべきだろう。

(読売新聞2024年7月4日号より)



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