ホーム Fuji 平和サミット:ロシアに対する国際的圧力を強める必要がある

平和サミット:ロシアに対する国際的圧力を強める必要がある

9
0


平和サミットに参加したすべての国が合意に達したわけではないが、少なくともウクライナの平和と安全を回復するための基盤が築かれたと言える。

首脳会談はウクライナ和平などを話し合うためスイスで開かれた。初会合には日本や米国、欧州諸国、新興国など約100カ国・国際機関が出席した。ロシアは招待されず、中国は欠席した。

首脳会談前は、ロシアと関係の深い新興国が協力するかどうかが不透明で、合意事項をまとめた共同声明が採択されないのではないかとの懸念もあったが、最終的には83カ国・機関が共同声明に同意した。

ウクライナは首脳会談で国際社会から可能な限り幅広い支持を得ることを目指しており、一定の成果を上げたと言える。

まず、共同声明では、すべての国の主権と領土保全の原則が尊重されるべきであると明記し、武力による威嚇や武力の行使の禁止を求めました。

その後、声明では、ウクライナの核施設の安全性、農産物を輸出する商船の自由な航行、ロシアに連れ去られた子どもたちの返還という3つの具体的な問題に対処する政策が示された。

サミット参加国の多くが、他国の領土を力で奪おうとするロシアの蛮行を許さないとのメッセージを発したことは意義深い。日米欧は関係国と連携し、ロシアへの圧力を強める必要がある。

しかし、今回の首脳会談では、いくつかの問題が未解決のまま残った。ウクライナ側が提案した10項目の和平案のうち、ロシア軍の完全撤退や全領土の返還など、意見が分かれそうな7項目が共同声明に盛り込まれなかったのだ。

それでも、インド、サウジアラビア、南アフリカなどの国々は共同声明に署名しなかった。これらの国々は、ロシアとの関係悪化を避けたかったとみられる。悪化すれば、自国のエネルギー供給と安全保障に悪影響が出るからだ。

旧植民地の新興国の中には、国際秩序を主導する西側諸国に反発する国もあるが、ロシアの侵略を許せば、これらの国の安全も脅かされかねない。

岸田文雄首相はサミットで「国際社会全体を協調の世界へと導く」ことの重要性を強調した。日本は長年、新興国の経済発展を支援し、信頼関係を築いてきた。その実績を生かし、ウクライナ支援に向けた国際世論醸成を主導すべきだ。

首脳会談前日、ロシアのプーチン大統領は和平交渉の条件として、ロシアが一方的に併合したウクライナ東部と南部の4州からウクライナ軍の完全撤退などを求めた。

これは本質的にはウクライナに降伏を要求するものであり、論外である。

(読売新聞2024年6月18日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください