ホーム jpn 岸田氏の首相辞任は国会解散の失敗が原因

岸田氏の首相辞任は国会解散の失敗が原因

12
0


9月に与党総裁任期を終えて首相を辞任する岸田文雄氏にとって大きな誤算は、衆議院を解散する機会を見つけられなかったことだ。

2023年5月に岸田氏の地元である広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)を主催し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も出席した直後、岸田氏が近い将来に総選挙を実施するとの憶測が高まった。

岸田氏は保守系の自民党を総選挙で勝利に導き、長期政権を樹立するための政治的立場を高めようとしたが、一連のスキャンダルにより結局その賭けに出ることができなくなった。

自民党は昨年末から、一部の派閥が資金集めパーティーの収入の一部を報告せず、裏金を作ったことで厳しい監視に直面し、岸田内閣の支持率は20%台にまで落ち込んでいる。

岸田文雄首相は2024年8月14日、東京の首相官邸で記者会見し、9月の自民党総裁選に出馬しない意向を発表した。(共同通信)==共同通信

岸田氏の不人気により、2021年10月に就任した岸田氏の下で次期衆院選が行われた場合、与党は大きな後退を経験することになるのではないかとの懸念が自民党内で広がり、一部の議員は岸田氏の政権からの退陣を求める動きが出ている。

岸田氏は6月に1945年以降8人目の首相として在任1000日を達成したが、中央大学の政治学教授、中北浩二氏は「長期ビジョンを描かず、調整能力に欠ける」として「指導者として多くの問題を抱えている」と指摘した。

「内閣支持率が低迷し、岸田氏は何をしても批判される状況に陥った。国民の支持が遠のく中、解決策が見つからなかった」と中北氏は指摘する。

岸田氏は水曜午前、急遽開かれた記者会見で「自民党が変わったことを国民に印象付ける第一歩として、総裁選に出馬しない決断をした」と述べ、政治資金スキャンダルの責任を負っていると付け加えた。

岸田氏は首相就任から数週間後の衆院選で連立与党を圧倒的多数に導き、就任1年目は内閣支持率が比較的高かった。

岸田氏の自民党は、安倍晋三前首相が選挙運動中に射殺されたわずか2日後に行われた2022年7月の参議院選挙でも勝利した。統一教会に恨みを持つ男が実行したとされるこの暗殺は、与党への同情票を促した。

この勝利により、当初は岸田首相は衆議院解散を選ばない限り国政選挙のない「黄金の3年間」と呼ばれる期間に政権の座を固めると思われた。しかし、安倍首相の死去以来、その政治的駆け引きは厳しく精査されている。

2022年半ば、自民党議員とカルトとされることの多い物議を醸す宗教団体との疑わしいつながりが発覚し、またスキャンダルや失言で複数の閣僚が辞任したことで、岸田氏の権力基盤は揺らいだ。

岸田氏の支持率も急落したが、これは主に、安倍首相の国葬を国民の税金で執り行うという岸田氏の性急な決定によるものだ。2012年から8年間の首相在任中、安倍首相は日本の民主主義を危険にさらし、私利私欲のために権力を乱用したと主張する者もいる。

しかし、岸田氏が2023年3月にゼレンスキー大統領との会談と、戦時労働賠償をめぐる韓国との長年の紛争の解決に向けた進展のためウクライナを電撃訪問したことを受けて、国民の支持は一時的に高まった。

2022年2月からロシアの侵攻下にあるウクライナ訪問から2カ月後、岸田外相は世界で初めて被爆した広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)を成功させ、外交力を発揮したとみられる。

岸田文雄首相(左)は2023年3月21日、ウクライナを訪問中、首都キエフ近郊のブチャにある教会で黙祷を捧げた。この教会には、ロシア軍が犯したとされる虐殺で亡くなった人々が埋葬されている。(共同通信)==共同通信

しかし、首相官邸での家族行事中に撮影された不適切な写真や、マイナンバー制度下での個人情報の取り扱い不備が明るみに出たことで、岸田氏の支持率は再び急落した。

岸田氏は2023年6月、その年の通常国会で衆院を解散しないと決断したと伝えられたが、増税案に対する国民の厳しい批判により状況は改善しなかった。

それでも岸田氏は、内閣改造で国民の印象を一新し、外交実績をアピールして支持回復を図ったが、裏金問題が致命傷となった。

2024年4月の補欠選挙で、自民党は保守系の牙城として知られる島根県を含む3議席を、左派議員の泉健太氏が率いる最大野党・立憲民主党に奪われた。

岸田氏の政治資金改革は国民の不評も招いており、自民党のベテラン議員、村上誠一郎氏は「首相が選挙の顔ではいけない。このままでは政権交代のリスクがある」と指摘する。

岸田氏に近い別の自民党議員は、与党内の有力者が岸田氏が「衆院解散という切り札」を切って総選挙を行うことを事実上阻止していると語った。


関連報道:

岸田氏、自民党総裁選から撤退し首相を辞任へ

日本、ウクライナ向けG7融資33億ドルを負担へ

日本の首相、平和憲法改正について党内で議論を促す






もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください