2024年7月19日 20:00(日本時間)
太平洋諸島首脳会議は木曜日、東京で結束を表明する宣言文を出して閉幕したが、近年この地域への関与を強めている中国に関して、一部の国の立場には顕著な違いがあった。
日本と太平洋島嶼国の首脳らが出席した首脳会議後に発表された首脳宣言は「いかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対する」と謳った。だが、宣言をめぐる議論は東京電力ホールディングス福島第1原発の処理水の太平洋放出問題で一時停滞した。
岸田文雄首相は首脳会談後、クック諸島のカウンターパートで会合共同議長のマーク・ブラウン氏との共同記者会見で、首脳会談参加者は主要課題について同じ認識を持っていると強調した。
「日本と島嶼国は法の支配と民主主義の価値観と原則を共有しており、武力の行使による現状変更の一方的な試みには反対する」と岸田外相は述べた。
岸田外相の発言は、東シナ海や南シナ海で強硬な姿勢を続ける中国に向けたものだ。
首脳宣言では中国を直接名指しすることは避けられたが、日本は「首脳らは、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序の重要性も共有した」という文言が宣言に含まれるよう尽力した。
中国は、大規模なインフラ整備などを通じて太平洋地域での影響力を強化している。習近平国家主席自身も同地域での外交努力を強化しており、太平洋諸国の一部では中国寄りの姿勢を強める動きもみられる。
宣言で放出された処理済み水を説明するために使用された表現を支持することに一部の指導者が躊躇したことは、このことを明らかに示しています。宣言では、指導者らは「この問題については科学的証拠に基づくことが重要であることに同意した」と述べられています。
日本政府は、処理水が「核汚染されている」とする中国の主張に反論するため、「科学的根拠に基づくことが重要だ」という表現を繰り返してきた。
国際原子力機関は、処理水が国際安全基準に沿って排出されていることを認めている。しかし共同記者会見でブラウン氏は、排出水が太平洋地域の人々の健康と福祉を脅かしたり、海洋環境に害を与えたりしてはならないと改めて強調した。
宣言と併せてまとめられた共同行動計画の草案では、日本の自衛隊が太平洋諸国の軍隊と共同訓練を行うことが盛り込まれていたが、一部の国の反発を招き、最終的には削除された。
「島嶼国は首脳会談を通じて日本の努力を称賛したが、中国の存在感は年々高まっている」と日本政府高官は警告した。