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国債購入の削減:日銀は着実に政策正常化に向けた措置を継続する必要がある

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日銀は異次元緩和政策から正常化政策への転換が重要だ。市場を不安定化させないよう慎重に計画を練るべきだ。

日銀は現在、毎月約6兆円の国債を購入しているが、金曜の金融政策決定会合で購入額を減らすことを決めた。日銀は次回7月の会合で、今後1、2年の購入額を減らす具体的な計画を策定することを決めた。

日銀は今年3月、大規模な金融緩和政策を終了し、マイナス金利政策を解除した。今回、国債保有高を段階的に減らす「量的引き締め」に政策を転換し、正常化に向けた政策を進めている。

国債市場が健全に機能するためには、民間金融機関等が国債の主な購入主体となることが望ましく、日銀が国債購入額を減額することが適当である。

日銀の政策変更後、長期金利は5月に1.1%と約13年ぶりの高水準に上昇した。

会合直後、円は1ドル=158円まで下落した。日銀が国債購入額を適正規模に減らす方針が具体化すれば、過度な円安・ドル高を一定程度抑制する効果も期待できる。

日銀は景気刺激策として2001年に量的緩和政策を開始し、2006年に解除したが、その後、国債購入による市場への資金供給に再び踏み切り、2013年には購入額を大幅に増やした。

日銀の国債保有残高は600兆円近くとなり、国債発行総額の5割超を占める。長期金利の抑制効果がある一方で、財政規律を弱めているとの指摘もある。適正水準まで減らすには時間がかかる。

日銀は、消費者物価指数の2%上昇という物価安定目標の達成には、金利を低く抑えて景気を支える必要があると判断し、今回、政策金利を0~0.1%程度に据え置いた。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を7会合連続で5.25~5.50%の高水準に据え置き、年末までの利下げ回数予想を3回から1回に減らした。日米金利差は依然大きく、円安圧力は強い。

日本経済は物価上昇に賃金上昇が追いつかず、物価調整後の実質賃金は2年以上下落している。円安で輸入コストが上昇し物価が上昇すれば、消費がさらに落ち込む恐れがある。

上田一男日銀総裁は「最近の円安は物価上昇要因だ」と強調。日銀は為替市場にも注意しながら政策運営すべきだ。

(読売新聞2024年6月15日号より)



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