ホーム Fuji 匿名で流動的な集団による犯罪:ソーシャルメディアでつながった集団が社会に脅威をもたらす

匿名で流動的な集団による犯罪:ソーシャルメディアでつながった集団が社会に脅威をもたらす

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面識のない者同士がSNSでつながり、犯罪集団を形成する時代だ。警察は、社会不安を払拭するため、こうした集団の捜査、実態解明、犯罪の摘発に全力を尽くすべきだ。

大阪府警は先日、特殊詐欺事件で得た資金を洗浄した疑いで、富山市の会社社長ら男13人を逮捕した。洗浄された資金は総額700億円以上に上るとみられる。

男らはソーシャルメディアで協力者候補を募集し、金銭を支払って金融機関に約4,000の法人口座を開設させた。男らは、その金が犯罪収益として特定されないように、ある口座から別の口座に資金を移していたとされている。

警察は、SNSでつながり、犯罪を繰り返しながら結成・解散する犯罪集団を「匿名で流動的な犯罪集団」と定義している。今回の事件では、一般市民を協力者とする犯罪集団が結成されていた。逮捕された男らは、その一部とみられる。

特龍グループはSNSで「闇バイト」を募集し、募集した人に強盗や詐欺をさせるなど、手分けして活動している。犯人逮捕しても、依頼主である主犯に捜査が及ばないようにする狙いがあるのだろう。

金銭欲しさに安易に勧誘に応じる若者も多く、それが暴力団拡大の一因となっているとみられる。実態がつかみにくい暴力団の蔓延は社会不安を増大させることになり、極めて深刻な事態である。

県警は2年前にもオンラインカジノによる不法勧誘事件を摘発しており、その捜査で、犯行資金の振り込みに使われた口座が、今回の事件で逮捕された男らが管理していたことが判明。粘り強い捜査が新たな犯行の糸口につながったといえそうだ。

犯人の中には国内外に拠点を置き、秘匿性の高いメッセージアプリで連絡を取り合っていた者もいた。警察は民間企業と連携し、男らのスマホを解析して資金移動の経緯を捜査すべきだ。海外の捜査機関との連携強化も重要になる。

犯罪グループを金銭的に追跡することも重要です。そのためには、犯罪グループが資金洗浄したり、犯罪で得た利益を利用したりすることを阻止することが不可欠です。

法人口座は送金限度額が高く設定されていることが多く、大口取引も多く、不正の発見が難しい。多額の出金や入金が繰り返される不審な口座があれば、金融機関は速やかに取引内容や口座に紐づく業務内容を確認するべきだ。政府も金融機関への指導強化に努めるべきだ。

報酬だけを目的にソーシャル メディアでのオファーを気軽に受け入れると、取り返しのつかない結果を招く可能性があります。簡単にお金が手に入るなどあり得ないことを人々は知る必要があります。

(読売新聞2024年6月3日号より)



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