ホーム Fuji 共和党全国大会:トランプ氏の「団結」は本物か?

共和党全国大会:トランプ氏の「団結」は本物か?

16
0


暗殺未遂の標的となり、九死に一生を得たという恐ろしい経験が、ドナルド・トランプ前米大統領に米国民の「団結」を呼び掛けるきっかけとなったのだろうか?

トランプ大統領は共和党全国大会で大統領候補指名受諾演説を行った。

右耳に包帯を巻いたままステージに立ったトランプ氏は、「我々の社会の不和と分裂は癒されなければならない」と述べた。さらに、「私はアメリカの半分のためではなく、アメリカ全体のために大統領に立候補している」と付け加えた。

暗殺未遂事件後、トランプ大統領は準備していた演説を全面的に書き直した。事件後初めて公の場で銃撃事件の詳細を語った。衝撃の表情を浮かべ、「話すのがあまりにも辛い」と二度目の発言をした。

トランプ大統領は、国境管理や外交に関連した政策など特定の政策について民主党を厳しく批判したが、ジョー・バイデン米大統領やその他の人物に対する個人攻撃は控えた。

トランプ氏は前回の大統領選挙での敗北を認めておらず、政敵に対して「報復」すると公言している。

極端な分断は深刻な結果を招くという真摯な認識に基づいてトランプ氏が戦略を変えようとしているのかどうかは、今後の行動を見ればわかるだろう。少なくともトランプ氏は、自分から距離を置いている無党派層や穏健派共和党員を引き付けることを目指している可能性が高い。

暗殺未遂事件によって共和党の結束が強まったことは疑いようがない。

党大会では、大統領候補指名争いでトランプ氏と対立した元米国国連大使のニッキー・ヘイリー氏がトランプ氏への支持を表明し、「トランプ氏に投票するのに、常に100%同意する必要はない」と述べた。

多くのライバルは、トランプ大統領を敵に回すよりも協力姿勢を示す方が有利だと考えて行動した。一方、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ディック・チェイニー元副大統領、マイク・ペンス元副大統領といった党の重鎮たちは大会に出席しなかった。

トランプ氏は言葉では団結を訴えているが、異なる意見に耳を傾けず、自分と似た考えを持つ人々を中心にした政権を作ろうとしているのではないかという疑念は拭えない。

副大統領候補には、白人労働者階級の有権者を重視する「アメリカ第一主義」の熱心な支持者であるJ・D・バンス上院議員をトランプ氏は選んだ。「我々は同盟国が世界平和を確保するという重荷を分かち合うようにする」とバンス氏は党大会での演説で述べた。

同盟は同盟国に対する慈善行為ではなく、米国自身の利益のためであるという事実をヴァンス氏は理解していないのだろうか?

トランプ氏の選挙スローガンは「アメリカを再び偉大に」だ。11月の大統領選挙に向けて、トランプ氏は外交・安全保障政策を精査し、そのスローガンに沿ったものにすべきだ。

(読売新聞2024年7月20日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください