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公正取引委員会、監視強化へ、改善命令を受けた企業について第三者が報告

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読売新聞ファイル写真
公正取引委員会が入居する建物

公正取引委員会は、独占禁止法違反の疑いがある企業に対して取る行政処分「確約手続」の遵守状況を監視する体制を強化する方針であることが読売新聞の取材で分かった。

公正取引委員会は、確約手続きの対象となった企業に対し、第三者による改善努力の監視を義務付けることを検討している。

公正取引委員会の行政処分の大半を占めるのが、談合やカルテル以外の法令違反の疑いがある場合を原則とする強制執行手続きだ。問題行為について企業が自主的に改善計画を公正取引委員会に提出し、公正取引委員会が改善計画が十分に実効性があると判断すれば、課徴金納付命令や排除措置命令などの処分は受けない。

確約手続きは、早期の競争環境の回復につながることから、昨年12月の導入以降、公正取引委員会が法的措置を講じた事案の約8割にあたる19件、21事業者に適用されている。

義務化手続きは、米IT大手グーグルやネット通販大手アマゾンジャパンなど多くの企業に適用されている。だが、独占禁止法の専門家からは、手続き導入後は改善状況の報告が企業側に委ねられ、改善の実態が確認できないとの指摘もある。

今年4月に確約手続きが適用されたグーグルは、2010年にヤフージャパン(現LY)と契約を結んだ際、「ヤフージャパンと競争関係を維持する」と公正取引委員会に申告していた。

しかし、グーグルは2014年にヤフージャパンとの取引を制限する新たな契約を締結。2015年から7年間にわたり、グーグルはヤフージャパンと不公正な取引を続けていた。その間、グーグルは公正取引委員会による複数回のヒアリングに対してこれらの事実を一切報告せず、事態の発覚を遅らせていた。

今後も、誓約手続きをめぐって同様の悪質な報告逃れが起きる恐れがあるため、公正取引委員会は改善計画を認定した上で監視体制を強化する必要があると判断したとみられる。

関係者によると、公取委は今後、各社と協議する改善命令手続きで、改善計画に盛り込まれた全項目の実施状況を「独立した第三者」が監視するよう求める方針。

公正取引委員会は、問題行為の停止を確認するほか、従業員への研修や行動規範の策定など再発防止策の状況を第三者が確認することを改善計画に明記させる。第三者は弁護士や監査法人など専門家で構成し、企業が委託して報酬を得る見通し。

欧州諸国では、専門家がコミットメント手続きの実施を監視し、違反を競争当局に報告する「管財人」制度がある。

公正取引委員会による事後チェック制度の創設は、事実上、日本版管財人制度となる。

さらに、現行の慣例である「問題行為の中止」及び「再発防止策の実施」を求める期間は3年を原則として5年以上に延長するほか、公正取引委員会への毎年の状況報告の期間も原則5年以上に延長する。

公正取引委員会は、改善計画が承認された後も報告義務を履行せず、新たな情報提供を拒否するなど、改善計画の実施状況に疑問を抱かせるような企業に対しては、独占禁止法に基づく聴聞や書類収集を積極的に実施する。

企業が従わない場合は、責任者は最長1年の懲役または300万円以下の罰金に処せられる。



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