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全国学力調査:読解力と文章力の低さは放置できない

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こうした状況の背景には、SNSの普及があると考えられる。短いテキストメッセージでのやりとりが一般的になり、長文を読んだり書いたりする機会が減っている。子どもたちが活字に集中できる環境づくりが必要だ。

文部科学省は、今年度の小学6年生と中学3年生を対象とした全国学力・学習状況調査の結果を発表した。

国語と算数・数学のテストのうち、中学生の国語の平均正答率は58.4%にとどまり、過去最低となった。話す・聞く、書く、読むの3技能のうち、特に読解の正答率が低かった。出題形式をみると、記述式の正答率も低かった。

文科省は「出題内容は毎年異なるため、単純に過去と比較するのは適切ではない」としている。だが近年、専門家からは児童の読解力や文章作成力の課題が繰り返し指摘されている。

読解力と記述力の低得点の原因については、徹底した分析が必要であるが、その結果が明らかになるまで現状を放置するわけにはいかない。まずは、図書の読解力や作文力の指導を通じて、読解力と記述力の向上を急ぐ必要がある。

多くの学校は、子どもたちがソーシャルメディアや動画ばかり見ていて、本を読んでいないと報告しています。子どもたちは短いテキストメッセージや絵文字でコミュニケーションすることに慣れており、長い文章を読んだり書いたりすることはストレスになっています。

中学生向けの記述式問題の一部で、未回答の割合が15%にも達したことも、この状況と無関係ではないだろう。

国は教育のデジタル化を推進する「GIGAスクール構想」を策定し、2021年度までにほぼすべての生徒に学習用パソコン端末を配布した。

今回受験した中学3年生は、小学校高学年の頃からパソコンを持つことに慣れ親しんできた世代で、その影響は小さくないだろう。

生徒が自宅に端末を持ち帰り、長時間動画やゲームを視聴するなどのトラブルが各地で報告されている。保護者の苦情を受け、一部の自治体は家庭ごとに子どもの端末使用時間を制限できるようにした。

同時に実施したアンケート調査によると、小学生の2割、中学生の3割がSNSや動画の視聴時間を1日3時間以上と回答。こうした生徒は勉強時間が少なく、就寝時間が遅いなど不規則な生活を送っていることが判明した。

GIGAスクール構想は新型コロナウイルスの影響で端末の配布が急がれ、活用状況や教育効果は不透明だ。今回の調査結果を踏まえ、効果や課題を検証すべきだ。

文章を読み、考える力は人間の知識の基盤です。活字離れの傾向を抑える対策が急務です。

(読売新聞2024年7月30日号より)



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