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佐渡金山勧告:世界遺産登録に向け、丁寧な説明を

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佐渡金山の文化的価値は認められたが、課題も残されている。世界遺産登録に向けて、政府には主張や説明を徹底し、他国の理解を広げてほしい。

ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)は、新潟県佐渡島の「佐渡鉱山遺産群」を「登録」に次ぐ評価となる紹介勧告とした。

ICOMOSは、金鉱山群が世界遺産リストへの登録を検討する価値があることを認めつつ、世界遺産に指定される地域の見直しなど、いくつかの要請を行った。

16世紀から19世紀にかけて、佐渡島の金鉱山は、世界各地の金鉱山で機械化が進む中、伝統的な手工業として高純度の金を生産する技術を開発・維持し、世界でも有​​数の生産力を誇っていました。

昨年、再推薦を受けた6つの文化遺産はすべて世界遺産に登録された。地元住民らは登録推薦を期待していたが、登録の最終決定が下される7月のユネスコ世界遺産委員会に向けて、最初のハードルを越えたと言える。

日本の文化審議会は、佐渡島の金鉱山跡地を2021年の国内登録候補地に選定した。しかし、韓国は、この遺跡は戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働を強いられた場所だと主張し、登録に抗議した。

今回、イコモスは追加勧告として、金が採掘された全期間にわたる歴史的解説や展示を日本側で行うよう求めた。これは韓国側の反対に配慮した要請と受け止められている。

日本と韓国はともに、21カ国からなる世界遺産委員会の委員国である。決議は基本的に全会一致で可決されなければならない。韓国は朝鮮半島出身の労働者に関する歴史的事実を考慮するよう主張している。ソウルは日本に対し、日本がこの問題にどう取り組むかによって登録に同意するかどうかを決めると主張し、圧力をかけている。

一方、林芳正官房長官は「政府全体で対応していく」と述べ、「韓国側と誠意を持って協議している」と付け加えた。

日本政府は世界遺産登録に向け、韓国との調整に全力を尽くしてほしい。金山の歴史や文化的意義を丁寧に説明し、日本が主張すべきことを貫く姿勢が大切だ。

2015年に日本の明治時代(1868~1912年)の産業革命遺産が世界遺産に登録されることが決まった際、韓国側は強制労働があったと主張した。日本側は強制労働とは言えないと反論し、激しい議論が交わされた。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の就任以来、日韓関係は改善の道を歩んでいる。新たな対立の原因を作らないよう、両国が相互尊重に基づく対話を行っていくことが期待される。

政治的対立により歴史的遺産が無視されるような状況は避けなければならない。

(読売新聞2024年6月12日号より)



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