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京都の外国人観光客、看板の誤訳や不適切な表現に困惑 観光協会が改善求める

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The Yomiuri Shimbun
京都市中京区の錦市場には14日、飲食禁止を訴える絵文字の注意書きが掲げられた。

京都市観光協会の調査によると、京都市内のホテルや飲食店など約500カ所の外国語案内に誤りがあった。同協会は、訪日客の不快感や京都ブランドの低下を避けるため、ガイドラインを策定し、ピクトグラムなど適切な表示を呼びかけている。

語学力のある従業員の不足

調査はコロナ禍で急増する外国人観光客の受け入れ態勢を確認するため、昨年12月から今年2月にかけて交通機関や博物館、神社仏閣など50施設で実施。ポスターや看板、音声案内装置など約3600点のうち、1割超にあたる499カ所で誤訳や不適切な表現があった。

最も注目すべき事例は、オンライン人工知能機械翻訳の使用によって引き起こされた。

京都で5年以上営業しているホテルでは、朝食会場の案内が中国語で書かれていて、ところどころ省略されていて分かりにくいと中国人観光客から苦情が寄せられていた。

同ホテルには中国語が話せる従業員がいないため、翻訳者に訂正を依頼した。同ホテルの担当者は「メッセージや情報がきちんと伝わることが最高のおもてなしだと考えているので、表記には慎重に検討したい」としている。

仮想現実(VR)で忍者体験ができる観光施設では、日本語では暴力を振るわないよう注意するところ、英語では「暴れないで」と書かれていた。利用者の指摘を受け、「暴力を振るわないで」と変更された。

AI翻訳では、文の前後の文脈を理解できなかったり、独自にコンテンツを生成したりすることで、不適切な文が生成されることがあります。

ピクトグラムを活用する

同協会によると、京都市内の主要ホテル112軒では、今年3月の外国人宿泊者数が56万4223泊に上り、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年3月と比べてほぼ倍増した。宿泊者全体に占める外国人の割合は59.1%で、過去2番目に高い水準となった。

同協会などは、外国人観光客の増加を踏まえ、正確で分かりやすい表示に改善する必要があると判断した。4月には誤訳の改善案やピクトグラムの事例などをまとめたガイドブックをホームページで公開。ホテルや百貨店など約20の事業者を対象に説明会も開いた。同協会は「各事業者が英文表記を見直し、サービスの向上に努めてほしい」としている。

調査を監修した米国出身の通訳ザッカリー・カプランさんは「ガイドブックの活用や専門職員の育成などを通じて、市内各所に親切でわかりやすい標識を増やすことが大切」と話した。

政府の支援

政府や自治体も正確な外国語表記を奨励している。観光庁は文化庁や環境省と連携し、18年度から英語を母国語とする専門家のリスト作りを進め、23年度には約1億2千万円をかけて、文化財や伝統芸能の解説文の執筆や校閲などを行う英語ネイティブの専門家を31自治体や観光協会に派遣する。

2025年に大阪・関西万博を主催する大阪府も支援策を打ち出している。府内の市町村や観光振興団体から申請を受け、ごみの出し方などマナーを教える注意書きや説明資料の翻訳費や観光案内板の設置費を府が半額(上限3千万円)補助する。府内の飲食店の多言語メニュー作成を支援するウェブサイトも開設している。



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