中国南部の都市深センで、登校途中に男に刺された日本人少年が木曜早朝に負傷により死亡したと日本政府が発表し、この事件により、既に緊張している日中関係がさらに悪化するのではないかとの懸念が広がっている。
中国外務省によると、父親が日本人、母親が中国人である10歳の少年は、水曜日の朝、日本人学校の近くで腹部を負傷し、病院で治療を受けていた。容疑者(44歳)は、教育施設の近くに駐在していた警察に逮捕された。
犯人が日本人を狙ったかどうかは不明。事件は在中国日本人社会に衝撃を与え、広東省に家族と暮らすビジネスマンは「屋外で日本語を話しているのを聞かれないようにするなど、警戒が必要だ」と話している。
写真は2024年9月18日、広東省深セン市で起きた日本人学校児童襲撃事件の現場。(共同通信))
岸田文雄首相は、男子生徒刺殺事件を「極めて卑劣な犯罪」と呼び、石川県で記者団に対し、事件に関する情報を「できるだけ早く」共有するよう北京に強く要請するよう当局に指示したと語った。
中国外務省の林建報道官は木曜日の記者会見で、「この不幸な事件を遺憾に思い、悲しんでいる」と述べた。同報道官は北京は「中国国内のすべての外国人を保護するために引き続き効果的な措置を講じていく」と述べた。
しかし、同報道官は「同様の事件はどの国でも起こり得る」と考えており、今回の攻撃は「両アジアの隣国間の交流や協力に影響を及ぼさない」と述べた。
中国外務省の林建報道官が2024年9月19日、北京で記者会見に臨む。(共同通信)==共同通信
林氏は、この事件は現在捜査中であり、犯人は法律に基づいて処罰されるだろうと付け加えた。中国と日本はこの件について意思疎通を続けている、と彼は述べた。
目撃者によると、少年は刺し傷から出血しており、現場で心臓マッサージを受けたという。襲撃当時、少年の母親も一緒にいた。
この刺傷事件は、6月に上海近郊の蘇州で起きた日本人の母親と子どもが負傷した刃物による襲撃事件に続くものである。中国人女性は犯人を止めようとして死亡した。
6月のナイフによる襲撃事件後、中国外務省報道官の毛寧氏は、この事件を「孤立した事件」と呼び、このような事件は「どの国でも起こり得る」と述べた。当時、同報道官は中国は「世界で最も安全な国の一つとして広く認識されている」と述べた。
日本の政府報道官、林芳正氏は東京での記者会見で、少年の死に「深い悲しみを覚える」と述べ、中国に滞在する日本人の安全を今後も確保していくと付け加えた。
上川陽子外相は、日本政府は日本人の安全確保に「あらゆる努力を払う」よう中国政府に要請したと述べた。また、同様の事件が再発しないよう対策を講じるよう日本政府当局に指示した。
上川陽子外相は、中国南部の都市深センで前日、通学途中に男に刺されて死亡した10歳の日本人少年の事件を受け、2024年9月19日朝に東京で記者会見した。(共同通信)==共同通信
上川氏によると、水曜日は日本軍による瀋陽近郊の鉄道線路への爆撃から93年目に当たることから、日本は先週、中国外務省に対し、日本の学校に対して徹底した安全対策を講じるよう要請したという。
1931年の爆撃は満州事変の始まりであり、日本による中国東北部への侵略と占領につながり、第二次世界大戦の終結まで続いた。
2024年9月19日、中国南部深セン市の日本人学校へ通う途中、男に刺されて死亡した10歳の少年を悼むため、北京の日本大使館で半旗が掲げられた。(共同通信)==共同通信
金杉憲治駐中国日本大使公邸では、少年を追悼するため木曜日に半旗を掲げた。大使は同日遅くに深センを訪問し、犠牲者の家族や、約3,600人の日本人が居住する深セン市の高官らと面会した。
北京の日本大使館によると、金杉外相は孫衛東中国外務副大臣との電話会談で事件に対する遺憾の意を伝えた。
深セン市を含む広東省の省都、広州市の日本総領事館は、市政府高官らが被害者の自宅を訪問し、少年の死に哀悼の意を表したと述べた。
深センの日本人学校の門前には、多くの地元住民が哀悼の意を表して花を捧げた。そのうちの一人は「中国人として犯罪行為を恥じている」と語った。
日本大使館は企業や日本の学校の代表者らと緊急会議を開き、この件について説明した。東京の文部科学省は、生徒と教師に心理的ケアを提供するために、深センの学校にカウンセラーを派遣することを決定した。
孫娘を連れて日本人学校近くの幼稚園に通っていた60代の中国人男性は、刺殺事件を知って驚き、「本当に残念だ」と語った。男性は、容疑者は「理性的な判断ができない」と考えているという。
中国南部深セン市の日本人学校の前には、前日に通学途中に男に刺されて死亡した10歳の少年の遺体安置所があり、2024年9月19日、花が供えられた。(共同通信)==共同通信
2024年9月19日、広東省深セン市で刺された10歳の少年が通っていた日本人学校の前に中国人家族が花を捧げている。(共同通信)
広州市在住の60代の中国人男性も「許されない事件」と述べ、「今後の日中関係に悪影響が出るのではないかと心配だ」と付け加えた。
中国がスパイ容疑で日本人を拘束したことや、昨年8月に福島原子力発電所から放射能汚染処理水の放出を開始した後に中国が日本産海産物の全面輸入禁止を課したことなどにより、アジア近隣諸国間の関係は悪化している。
一連の日本人襲撃事件により、両国間の交流や日本からの中国への投資がさらに阻害される恐れがある。
中国日本商工会議所は木曜日の声明で、金杉氏に対し邦人の安全確保のための措置を講じるよう直接要請したと述べ、同会議所は引き続き日本政府と中国政府に事件の真相究明を要請していくと述べた。
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