2024年6月16日 13時59分(日本時間)
内閣府の日本のエネルギー政策に関する討論会で中国企業のロゴが入った文書が発見された事件は、文書を提出した専門家の不注意によるものと報じられている。
しかし、中国の思惑によって日本のエネルギー政策がゆがめられるのではないかという疑念を抱かせたことは問題であり、軽率さへの批判は免れない。
再生可能エネルギー規制の包括的見直しに関するタスクフォースのメンバーが提出した文書には、中国企業のロゴが付いていた。タスクフォースは、河野太郎公務員制度改革担当相が2020年に自身の私的な議論の場として設置したものだ。
政府の調査報告書によると、委員は太陽光や風力発電の推進を目的とした再生可能エネルギー研究所の職員で、同研究所が2016年に韓国で開催した国際会議で、中国の国営電力会社、中国国家電網からデジタルデータを受け取った。
データは、太陽光などの送電網でアジア全域をつなぐという中国の構想に関するもので、中国国家電網公司のロゴが含まれていたが、委員はデータの一部を、日本の再生可能エネルギーの推進を意図した内容など他の内容に差し替え、修正したデータを同委員会に提出した。
委員は「ロゴには気づかなかった」としているが、批判を受けてタスクフォースを辞任した。政府はこの問題について「中国から不当な影響を受けた形跡はない」と結論付けている。
しかし、これはディスカッションフォーラムの運営方法に問題がなかったことを意味するものではありません。
同フォーラムは、経済産業省に電気自動車の充電施設を全国に整備する計画を策定するよう要請するなど、政府に再生可能エネルギーの利用拡大を繰り返し求めてきた。
民間討論会の役割を定めた政府のガイドラインでは、「法律で設置された審議会等とは異なり、行政運営のための意見交換や議論の場に過ぎない」と規定している。
政府にさまざまな要求をしてきた河野懇談会の活動は指針を逸脱していると言わざるを得ず、林芳正官房長官から警告を受け、河野氏がその後、懇談会を廃止したのは妥当だ。
本来、内閣府及び内閣府特命担当大臣は、各省庁の政策を調整し、取りまとめる役割を担っています。
河野氏は国会議員として再生可能エネルギーの推進を主張するのは自由だが、特命担当大臣としてその責任の重さと影響力の大きさを忘れてはならない。
エネルギーの安定供給は、国家の存立基盤に関わる重要な課題であり、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立を図るためには、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの活用促進などを並行して進めていく必要があります。
(読売新聞2024年6月16日号より)