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中国ブイ:日本の海洋権益を守るため警戒を強化

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日本が、津波観測用ブイだという中国の主張を受け入れ、対策を取らなければ、日本の海洋権益が損なわれかねない。海上保安庁や自衛隊は警戒監視を強化する必要がある。

先月、中国の海洋調査船が四国南方の海底にある大陸棚「四国盆地」の海域にブイを設置した。四国盆地には希少金属など貴重な鉱物資源が存在することが確認されている。

海上保安庁は同海域に向かう同船を発見し、日本政府は中国側に航行目的など詳しい説明を求めたが、中国側は応じなかった。

ブイの設置後、中国は津波観測用であり、日本の大陸棚の主権を侵害するものではないと反論した。

国連海洋法条約は沿岸国に対し、大陸棚の海底資源の探査や開発の主権的権利を認めている。中国が日本の大陸棚を調査する場合、北京は事前に日本に通知し、同意を得る義務がある。

一方、大陸棚より上の海域については、沿岸国の排他的経済水域(EEZ)内であれば沿岸国が海洋調査の管轄権を持つが、公海ではどの国も自由に調査できる。

ブイが設置された海域は公海上だった。中国の主張が事実なら国際法違反には当たらない。だが、もし中国の主張どおり津波観測用だったとしたら、なぜ日本側の説明要求を設置まで無視したのか。

同じ海洋調査船は昨年7月にも尖閣諸島沖の日本EEZ内にブイを設置している。日本政府は再三ブイの撤去を求めているが、中国側は何ら反応していない。

近年、中国は自国の利益を主張するために一方的に海域を開発し、構造物を建設する習慣がある。

中国は20年以上前から東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を始め、現在18カ所の沖合施設を設置して天然ガスを採掘している。南シナ海では次々と岩礁を埋め立てて軍事拠点化している。

最新のブイが放置されれば、四国海域も紛争海域になる可能性がある。

一方、日本とフィリピンの外務・防衛大臣は先日マニラで会談し、中国を念頭に置き、海洋秩序維持のため米国やオーストラリアと協力する方針を確認した。

中国公船は領有権を争うフィリピンの船舶に放水や衝突を繰り返し、緊張が高まっている。中国に対処するため多国間で協力するのは現実的な選択肢といえる。

日本はフィリピンなど東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国に巡視船艇などの装備品を供与するほか、技術指導など人材育成にも力を入れるべきだ。

(読売新聞2024年7月10日号より)



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