By Shota Mizuno and Shodai Niki / Yomiuri Shimbun Staff Writers
2024年5月29日 17時31分
トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の販売が低迷する中、エンジン技術を磨き、環境対応車市場での競争力を高めるのが狙いで、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向けの新エンジンを開発する計画だ。
マルチパス戦略
同社は、10%コンパクト化を図りながらパワーアップを目指し、1.5リットルと2リットルの2種類のエンジンを開発する予定だ。
トヨタは、エンジンを小型化することで、より空気力学的なボディ設計の自由度が高まり、1.5リットルエンジンで燃費を12%向上できると述べた。
トヨタはまた、新型エンジンが実質的に二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルな燃料で動くように設計されることも想定している。これには、植物由来のバイオ燃料や、二酸化炭素と水素を合成して作られるe-燃料が含まれる。
トヨタは2030年までにEVの世界販売台数を350万台に増やす計画だが、HVやPHVなど異なるタイプの電動車をそろえるマルチパス戦略も発表している。
トヨタの佐藤浩二社長は火曜日の東京での記者会見で「電動化時代に最適化したエンジンを開発する」と述べた。
同様のペースで動いている
トヨタと資本関係にあるマツダやスバルも同様のペースで電動化時代に向けたエンジン開発を進めている。
スバルは独自の水平対向エンジンを使った新たなハイブリッドシステムを開発しており、2024年秋にも同エンジンを搭載した車両の生産を始める予定だ。
一方、マツダは、PHVの動力源として復活したロータリーエンジンを使った新車を開発する計画だ。
トヨタ、マツダ、スバルはそれぞれエンジンなどの開発を個別に進めるが、情報共有も検討する。
部品サプライヤーへの懸念
3社がエンジン開発に注力しているのは、傘下の部品サプライヤーに対する懸念が一因となっている。
EVに必要な部品はガソリン車で使用される部品の約3分の2しか必要としないと推定されており、自動車メーカーはEVへの移行が続くとサプライヤーの事業を維持できなくなるのではないかと懸念している。
国内ではEVの需要が鈍化しているが、中長期的には世界的に普及が進むとみられる。
佐藤氏は、自動車部品サプライヤーと協力し、電動車の将来を模索する意向を示した。
「私たちは一緒に未来を変え、どのような未来を創り出すか責任を負います」と佐藤氏は語った。
脱炭素化の流れを受け、米国のテスラ社や中国のBYD社などのメーカーがEV市場に急速に台頭している。
しかし、EVは価格の高さや充電インフラの未整備など課題を抱えており、現実的な解決策としてEVよりも安価で航続距離が長いHVやPHVが世界的に再評価されている。
一方、ホンダは2040年までに新車販売をすべてEVか燃料電池車(FCV)にしたい考えだ。同社は北米市場での販売を拡大しており、HVの世界販売台数は現在の年間85万台から180万台に増える可能性があるとしている。
EVに注力する日産自動車も北米市場に新型PHVを投入する予定だ。
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