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パリ五輪開幕:暴力にも屈せず、開催都市は輝く

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パリで100年ぶりのオリンピックが開幕した。フランスの高速鉄道網が妨害行為の被害に遭い、緊張の中でオリンピックが始まった。しかし、大きな問題は報告されずに開会式は行われ、選手たちはセーヌ川沿いをボートで行進した。

開会式は夏季オリンピック史上初めてスタジアムの外で開催され、パリの中心部で斬新な演出が披露された。セーヌ川沿いや橋の上でダンスパフォーマンスやファッションショーが行われ、街中に歌声が響き渡った。

川岸には30万人の観客が詰めかけ、各国の選手やスタッフが雨に濡れた船の上から国旗や手を振った。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客で行われた東京大会の開会式から3年が経ち、再びオリンピックで人々の歓声が聞こえて感動した。

デジタル全盛の時代に、生で踊ったり歌ったりすることの素晴らしさを改めて実感できる開会式。芸術の都パリにふさわしいプログラムを組んだといえるだろう。

パリ大会では、環境に配慮し、既存の施設を可能な限り活用。性別や人種、文化などの違いを超えた多様性を尊重するため、選手やスタッフの男女比をほぼ同数にするなどの工夫もなされており、五輪の新時代を予感させる取り組みだ。

開通式当日、TGV高速鉄道網は未明から破壊行為に見舞われ、設備に放火された。これはパリと地方都市を結ぶ複数の路線を標的に、同時多発的に計画的に行われた犯罪行為だった。

線路脇のケーブルが切断され、現場では焼夷弾などが見つかった。死傷者の報告はないが、多くの鉄道が運休となり、ドイツ人選手2人は開会式に参加できなかった。サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」もバスでの移動を余儀なくされた。

オリンピックを妨害しようとするこのような悪質な暴力行為は容認できない。捜査当局は早急にこの破壊行為の責任者を摘発し、厳重に処罰しなければならない。

フランス政府は大会期間中、毎日3万5000人の警備員を動員する予定だと報じられている。大会の成功は安全な運営にかかっており、安全確保のためにあらゆる手段が講じられることが期待される。

パリオリンピックは、ロシアのウクライナに対する継続的な侵略とイスラエルのパレスチナ領ガザ地区への攻撃という戦争のさなかに始まった。平和は脅かされ、国際情勢は不安定だ。

8月11日に閉幕する五輪では、200を超える国と地域から約1万人の選手が熱戦を繰り広げる。その中には、苦境に立たされているウクライナやパレスチナの選手もいる。

この大会は、参加する各国の選手たちの喜びに満ちた笑顔を通じて、人々が平和の尊さを再認識することにもつながるでしょう。

(読売新聞2024年7月28日号より)



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