ホーム Fuji ニッポン2050 / 過疎化が進む地域を生き抜くために、日本の民間セクターが革新的な方法を試す

ニッポン2050 / 過疎化が進む地域を生き抜くために、日本の民間セクターが革新的な方法を試す

11
0



読売新聞
千葉県南房総市に無印良品ハウスが建設したネットゼロハウス。

ある推計によると、日本の人口は2056年までに約1億2400万人から1億人未満に減少するだろう。読売新聞は4月、慢性的な出生率の低下を食い止め、日本社会の活力を将来にわたって持続させるための一連の提言を発表した。これは、2050年の日本がどのような姿になっているか、国民としてどのように課題に立ち向かうか、そしてどのような社会にしたいかを探るシリーズの第1弾である。

***

千葉県の田舎で、東京の住宅建設会社がインフラに依存しない家を実現した。

南房総の海岸沿いに無印良品ハウスが建てた「ネットゼロハウス」には電気も水道もありません。ライフラインが整備されていないのに、自然が豊かな地域でどう暮らすかがコンセプトです。

良品計画の子会社であるMUJI HOUSEは4月にモデルハウスを公開した。ワンルームの住居は12平方メートルの広さで、屋根と壁にソーラーパネルを設置して電力を供給している。シャワーの水は家庭排水を浄化してリサイクルするシステムから供給されている。

トイレは水を流すのではなく、微生物が排泄物とトイレットペーパーを分解します。


読売新聞
家の中の水循環システム

読売新聞
バイオトイレ

MUJI HOUSEは、車輪が付いていてトレーラーで移動できるネットゼロハウスを2025年に商品化することを目指している。

同社商品開発部長の河内幸治氏は「人口減少やインフラ整備が深刻化する社会における住宅のモデルとなる」と話す。

2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという政府のカーボンニュートラル目標に沿って、多くの企業が同様の住宅の開発を開始している。

「2050年にはインフラを自前で備えた住宅が主流になるかもしれない」と河内氏は言う。


読売新聞
蓄電池

空の配送ルート

全長1.7メートルのドローンに生活必需品を積んで、山梨県小菅村の「ドローンデポ」と呼ばれる物流拠点から飛び立つ。

ドローンは深い森の上をまっすぐに飛行し、人里離れた村の空き地に静かに着陸した。そして貨物を降ろし、倉庫に戻る。

「ドローンが生活インフラの一部になれば、日本全国どこへでも配送サービスを提供できるようになる」と、東京に拠点を置くドローン開発会社、エアロネクストの代表取締役、田路圭介氏は語る。

エアロネクストは2021年にドローン配送事業を開始し、現在は全国8自治体で事業を展開しているが、いずれも過疎化が進む。住民は買い物が不便になり、遠隔地のため通常の配送業者にとってはコストがかかりすぎる。

エアロネクストは今後数年間で、800以上の自治体に事業を拡大する予定です。

東寺さんは、2050年に空が道路のように使われることを思い描いている。「物流手段が確保できれば、生活は維持できる。『昔は買い物に行くのが大変だった』と言われる日が来るでしょう」

野村総合研究所は、道路や水道管などインフラの7割以上が2030年以降に更新時期を迎えるとの見通しを示した。国土交通省によると、2040年までに全国の道路橋73万橋のうち75%、トンネル1万1千本のうち53%が築50年以上となる。

公共政策の専門家である東洋大学の根本雄二教授は「すべてのインフラを維持するのは難しい。利便性よりも持続可能性を優先し、最も必要なものを残すための『インフラ削減』という観点で考える必要がある」と指摘する。

「第2の地方自治体」構想

地方の行政体制にも変化が起きている。

「人口減少社会に最も求められているのは相互扶助だ」と、地域課題の解決に取り組む東京の企業、パラミタの共同代表取締役、林篤氏は言う。

「住民や企業が連携し、いわば『第二の自治体』として自治体の運営を補完していくことが必要だ」

典型的な事例は、人口約1,200人の奈良市月ヶ瀬地区にある。

4月、パルミタさんは住民らとともに地元協同組合を立ち上げ、リサイクル可能な廃棄物の収集やコミュニティバスの運行を開始した。

市などによると、この取り組みは、住民同士の助け合いの意識を高め、参加を促すのが狙い。最終的には、協同組合の運営で得た利益を地域のためにどう使うかを住民が決めることになる。

「ここで暮らし続けられるよう、自分たちに何ができるかを考えていきたい」と月ヶ瀬に住む3児の父親、松本尚之さんは語った。

2004年の地震で大きな被害を受けた新潟県長岡市の山古志地区で、もう一つのユニークなプロジェクトが立ち上げられた。

「ネオ山古志村プロジェクト」と名付けられたこのプロジェクトでは、民間団体「山古志住民協議会」が発行する電子住民票を、地域外に住む人でも購入できる。

現実と仮想空間を組み合わせたこのプロジェクトは、約1,700人の「デジタル村民」と地元住民を結びつけ、オンライン会議や山古志村での会合に集まり、地域の課題に取り組んでいます。

同協議会代表の竹内遥さんは「地域への思いを共有する住民や関係者のコミュニティーを築けば、小さな地域でも自立して存続できる」と話す。

住民が自治の必要性を考え始めるきっかけとなっているのは、人口減少だ。

地域社会論を専門とする立命館大学の中西典子教授は「今後は住民が自らの力で地域づくりをしていくことが必要。自治体はそうした取り組みを支援する必要がある」と指摘する。



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください