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ソーシャルメディア上の虚偽広告:消費者を被害から守るため、速やかに規制を強化

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著名人の氏名や肖像を無断で使用し、投資を勧誘するSNS上の虚偽広告による被害が広がっている。政府はSNS運営企業への法的規制など、実効性のある対策を早急に講じる必要がある。

総務省の有識者会議は、ソーシャルメディア上の偽広告対策を提言した。主な対策は、ソーシャルメディア運営者に広告掲載の事前審査体制の強化を求めることだ。

検討会は、SNSに掲載する広告が適切かどうかを事前に審査する必要があり、適否を判断する基準を設けることや、広告を審査する体制の構築、日本語や社会・文化に詳しい人員の配置などを求めた。

同委員会は、フェイスブックやインスタグラムを運営する米国の大手ソーシャルメディア企業メタ・プラットフォームズなど、ハイテク大手に規制を課すことを検討している。

メタなどの企業は、問題のある広告が掲載される前に自動的に検出する人工知能などの技術を使って広告を審査しているとしているが、現実には虚偽の広告が依然として横行している。

実効性のある審査体制の整備や透明性の向上が不可欠だ。政府は、適切な措置を講じるよう法的に義務付けるなど、その実現に向けた検討を期待する。

審査をすり抜けた虚偽広告の速やかな削除も急務だ。有識者会議は、主要なSNS運営者に広告削除の基準を事前に策定・公表することや、削除申請を受け付ける部署の設置などを求めた。

国民生活センターに昨年度、著名人の名前や肖像を使った虚偽の広告や詐欺的な内容で金銭をだまし取られたと訴える相談が1629件寄せられ、前年度比10倍近くに急増した。

被害を防ぐためには、偽広告の配信を直ちに止めることが不可欠だが、企業の動きは鈍い。

与党自民党は4月、メタに対してヒアリングを実施した。メタは削除した偽広告の具体的な数を公表しておらず、情報開示が不十分だった。

虚偽の広告に名前と画像が使用されたある有名人は、Meta にそのような広告を削除するよう求めたが、Meta からは広告が多すぎてすべてに対処できないと言われたという。

虚偽広告は著名人の社会的評価を低下させる恐れがあり、放置するわけにはいかない。運営側は虚偽かどうかの判断が難しいとしているが、虚偽の可能性が高いと思われる広告まで放置されているのが実情とみられる。

政府は有識者会議の議論を踏まえ、6月末までに対策をまとめる予定だ。これまでのように大手SNSの自主的な対応に任せるのではなく、実効性の高い規制強化策で改善を強く促すべきだ。

(読売新聞2024年6月6日号より)



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