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スタートアップのハブ:最先端技術を商業化につなげる必要がある

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先端技術を持つスタートアップ企業が新たな市場を開拓し、経済を牽引する時代が到来した。諸外国もスタートアップ企業の育成に力を入れており、日本も支援策を強化すべきだ。

政府はマサチューセッツ工科大学など海外の有力大学と連携し、東京都心に研究拠点「グローバル・スタートアップ・キャンパス」を設立する。

岸田文雄首相が昨年5月の日米首脳会談で表明した方針。国内外から優秀な研究者を集め、企業経営や知的財産の専門家らと連携し、画期的な事業を展開するベンチャー企業を創出する。

研究者と企業人が自由に意見を交換し、研究から事業化まで一貫して取り組む体制は世界的な潮流となっている。日本もそうした研究拠点を設立し、成功例を示す必要がある。

MIT 周辺地域は、創薬スタートアップの世界的な拠点となっています。大学の研究者、投資家、ビジネスマンが集まり、高度に協力的なイノベーションのエコシステムを構築しています。

米国のこれらのスタートアップクラスターでは、商業化の専門家がスタートアップ企業と協力し、資金調達や事業立ち上げのための経営人材の確保を支援しています。

しかし、日本ではそうしたシステムがまだ十分に整備されておらず、起業を考えている研究者は周囲に相談できる人がいなかったり、資金調達に苦労したりしている。

現状では米国のような取り組みは容易ではない。政府は新キャンパスのトップマネジメントや運営体制を早急に固め、多様な人材が協働できる体制を整備する必要がある。

日本でもスタートアップの数は増えている。しかし、増加率は海外の方が大きく、日本と海外の差は広がっている。特に、生成AIや新しいワクチン製造など、画期的なビジネスは日本には少ない。

大学の先端技術はビジネスに発展しにくいと言われており、これが経済低迷の一因となっている。この状況を変え、日本の競争力を高めることが不可欠だ。

省庁や地方自治体が既に実施しているスタートアップ企業支援策も活用しながら、国全体で強化していくための施策を検討すべきだ。

グローバル・スタートアップ・キャンパスは政府の資金援助を受けてスタートするが、政府は将来的には投資、寄付、政府研究資金などさまざまな財源によって自立的に運営することを目指していると述べた。

これを機に、リスクを嫌う大企業の企業文化や、ビジネスを嫌う大学の文化を変えていくことが重要だ。

(読売新聞2024年6月17日号より)



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