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クロマグロ漁業:国際規制により資源回復が進む

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漁獲量の厳しい規制により、資源は着実に回復していることが示されており、日本は漁業大国として国際的な漁獲量管理において責任ある役割を果たすことが期待される。

太平洋クロマグロの資源管理を議論する国際会議では、資源回復を受け、年間の漁獲枠を増やすことで合意した。日本の漁獲枠は、体重30キロ以上の大型クロマグロが50%増の8421トン、小型魚は10%増の4407トンとなった。

協定は年内に開かれる中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)総会で正式決定される。大型魚の漁獲枠は3年ぶりに、小型魚の漁獲枠は規制が導入された2015年以降初めて引き上げられる。引き上げられた漁獲枠は2025年以降に適用される。

クロマグロは高級寿司ネタや刺身として人気があり、日本は最大の消費国。漁獲量の増加で価格低下も期待される。

日本は今回の会合で大型魚の漁獲枠を2・3倍、小型魚の漁獲枠を3割増やすことを求めたが、一部の国が慎重姿勢をとったこともあり、提案通りには認められなかった。資源回復に向け、関係国の理解を得るため、丁寧な説明が重要だ。

海に囲まれた日本にとって、水産資源の利用と保護の両立は重大な課題です。

まず、太平洋クロマグロの資源量は1960年代のピーク時には10万トンを超えていたが、2010年には約1万トンに激減した。日本側の乱獲が主な原因だ。

資源を回復させるため、日本、米国、韓国、台湾などによって結成された組織であるWCPFCは2015年に厳しい漁獲規制を導入した。

取り組みの効果は現れており、同機構は2034年までに13万トンに戻す目標を掲げていたが、22年には前倒しで約14万4千トンまで回復した。国際的な漁獲規制の成功例として注目される。

一方、近年記録的な不漁に見舞われている魚種が日本近海に多くあることも気がかりだ。養殖魚も含めた日本の全漁獲量は昨年、最盛期の約3割にまで落ち込んだ。サンマやスルメイカの漁獲量は過去30年間で9割以上も減少している。

各魚種の漁獲量減少の原因としては、海水温の上昇や海流の変化、各国の漁業者を中心とした乱獲などさまざまな要因が指摘されており、資源管理が難しくなっている。サンマに対する国際規制の影響はまだ明確には示されていない。

重要なのは、資源状況の調査を進め、科学的根拠に基づいて規制の議論を進めることだ。関係国や地域が知見を共有し、不漁が続く魚種への対策を練ることが期待される。

(読売新聞2024年7月24日号より)



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