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ガザへの攻撃:人道危機が広がる中、黙って見過ごすな

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イスラエルは住宅や病院などを無差別に攻撃し、どれだけの犠牲者を出すつもりなのか。人道危機を拡大させ続ける強硬姿勢は看過できない。

イスラエル軍は再びパレスチナ自治区ガザ地区を空爆で攻撃した。また、最南端の都市ラファに戦車を配備するなど、大規模な地上作戦を開始した。

数十万人がガザの北部と中央部から逃げ出し、今もラファにいるようだ。イスラエル軍はエジプトとの国境にあるラファ検問所を制圧し、食糧やその他の物資が市内に入るのを阻止している。

イスラエルはラファへの攻撃は限定的であると主張しているが、死傷者の数は日ごとに増加している。

イスラエルがガザへの攻撃を開始してから7か月が経ち、女性や子どもを含む3万5000人以上の住民が殺害された。これはイスラエル軍が人命をほとんど考慮しない無差別攻撃を行った結果である。

この戦闘の直接の原因は、イスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの国境を越えた攻撃である。ハマスは約1,200人を殺害し、現在も100人以上の人質を抱えている。そのテロ行為は許しがたい。

しかし、過剰な反撃を続けるイスラエルに対し、国際社会からの批判は強まっている。

南アフリカなどの国々はイスラエルの軍事攻撃をジェノサイドと呼んで非難している。また、イスラエルに国際法を順守するよう求めている欧州でも批判が高まっている。

ジョー・バイデン米大統領は、イスラエルがラファへの全面攻撃を開始した場合、米国は武器供給を停止すると異例の警告を発した。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、まるで聞く耳を持たないかのように攻撃を続けている。

ネタニヤフ首相は、親イスラエル派のドナルド・トランプ前米大統領が今年11月の米大統領選挙で再び政権に就いた場合、米国が自国を全面的に支援すると期待しているのだろうか。

国連の最高裁判所である国際司法裁判所(ICJ)は、暫定措置としてイスラエルに対し、ラファへの攻撃を即時中止するなどの措置を取るよう命じた。この命令には法的拘束力があり、従わない場合は国際法違反となる。

国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官は、主に人道に対する罪に関する同裁判所の設立条約の締約国による法廷で、戦争犯罪などの容疑でネタニヤフ首相とイスラエル国防相、ハマス幹部に対する逮捕状を請求した。

ハマスの犯罪に責任を問うのは当然だが、検察側もイスラエルの行為を重大犯罪とみなしているようだ。

国際社会で「注視している」などと決まり文句を言うだけでは不十分だ。人命や人権の尊重など普遍的価値を重視する観点から、戦闘停止を強く求める外交努力をすべきだ。

(読売新聞2024年5月26日号より)



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