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ガザに関する国連安保理決議:停戦要請は国際社会の総意を反映

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国連安全保障理事会がパレスチナ自治区ガザでの即時停戦を求める決議を全会一致で採択したことは極めて意義深い。

交戦当事者は国際社会の総意を受け入れ、直ちに軍事行動を停止すべきである。

安全保障理事会の決議は、イスラエルとイスラム主義組織ハマスに対し、ガザ戦争をめぐって米国が提示した停戦提案を直ちに実施するよう求めている。

採決では安保理15カ国のうち中国を含む14カ国が賛成した。米国と対立する中国が賛成票を投じ、ロシアが拒否権を発動せず棄権したことは画期的な出来事といえる。

女性や子どもを含む多数の民間人が犠牲となった惨状を無視することはできない、という認識を中国やロシアを含む国際社会全体が共有しているということだ。

停戦提案は、即時停戦、人質全員の解放と敵対行為の永久停止、ガザ地区の再建という3段階から構成されている。しかし、イスラエルは戦闘を止めておらず、ハマスは提案の修正を求めている。

8か月に及ぶ紛争で、イスラエル軍の攻撃によるガザでの死者は3万7000人を超えた。ハマスの越境攻撃がきっかけとはいえ、イスラエルの対応は自衛権の範囲をはるかに超えており、全く受け入れられない。

決議の内容に欠陥があったとしても、即時停戦を実現し、人道危機を食い止めることが優先されなければならない。

見逃せないのは、安保理決議採択前に、イスラエル軍がガザ中心部で人質4人を救出するために行った作戦で、多くの子どもを含む270人以上の住民が死亡したことだ。人命軽視との非難は免れない。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、国際社会だけでなくイスラエル国内からも批判にさらされている。

イスラエルの元国防大臣で穏健派の野党党首ベニー・ガンツ氏は、ネタニヤフ首相が戦闘終結後のガザ統治計画をまだ提示していないため、戦争内閣を離脱した。

ネタニヤフ首相は政権維持のため、連立政権を構成する極右政党への傾倒を強めている。極右勢力への配慮から、米国やエジプトなどが仲介する停戦交渉でも態度を硬化させ、和平への機運をさらに弱める懸念もある。

バイデン米大統領はイスラエルが攻勢を拡大すれば武器供給を停止すると繰り返し警告している。イスラエルが強硬姿勢を変えない限り、米国は支援を見直す範囲で圧力を強化する必要がある。

(読売新聞2024年6月14日号より)



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