2024年7月23日午前1時(日本時間)
日本を訪れる外国人観光客が急増する中、地方自治体はオーバーツーリズムへの対策として、観光客に宿泊税を課すことを検討している。すでに12の自治体がこうした税を導入しており、40以上の自治体が観光インフラ整備のための資金集めのために導入を検討している。
しかし、自治体が新たな税金を設計する中、一部の宿泊施設事業者は反対の声を上げている。
ゴミのポイ捨て、駐車違反
山梨県富士吉田市の横断歩道付近は、カメラやスマートフォンを持った外国人観光客で賑わっている。
かつては閑散としていた交差点周辺の商店街は、富士山を背景にした日本の伝統的な商店街の写真を撮ることができることから、ソーシャルメディアで話題になっている。多い日には4,000人を超える観光客が訪れる。
観光客の中には、道路の真ん中に立ったり、信号が赤のときに道路を渡ったりしながら写真を撮っている人もいます。
「賑わうのはいいことだが、交通ルールを守らない人が多い」と、同地区で生活雑貨店を営む68歳の男性は言う。「何か対策があればいいのに」
富士吉田市は3月に宿泊税を導入する意向を発表した。
富士山と五重塔のパノラマビューを楽しめる市内の景勝地、新倉山浅間公園の来場者は、2016年度の約30万人から今年度は約170万人に増加すると予想されている。観光客の急増により、ゴミの散乱や無断駐車が横行している。
市が2026年度に導入を目指している宿泊税は、オーバーツーリズム対策の財源となることが期待されている。
費用の半分を負担
宿泊税は、宿泊客に課される地方税。目的税に該当し、自治体が導入するには、税の目的や適用時期、税率などを定めた条例案を可決し、総務相の認可を受ける必要がある。
こうした税は2002年に東京都が初めて導入し、その後12自治体が同様の税を導入しており、そのうち3自治体は近々課税を開始する予定である。また、40以上の自治体が導入を検討している。
新型コロナウイルスの感染拡大で観光産業が縮小する中、宿泊税導入の動きは一時弱まった。だが、日本政府観光局は24年上半期の訪日客数が過去最高の1777万人に達したと金曜日に発表。急速な回復を受け、宿泊税導入の動きが再燃している。
宿泊税は導入自治体にとって重要な財源となっている。京都市は24年度予算で宿泊税から48億円を見込んでおり、6月から主要観光地だけに停まる観光特急バスの運行を開始した。混雑する市バスで住民のスペースを確保するのが狙いだ。
福岡市は2020年4月に独自の宿泊税を導入した。市当局者は、この税収は「市の観光を刺激する新たな事業の実施」に役立っていると述べた。
市は、2024年度予算の観光関連費58億円のほぼ半分にあたる約28億円の税収を活用し、国際会議などの誘致につなげる計画だ。
企業からの反対
しかし、税金を徴収する義務を負う宿泊事業者からは懸念の声が上がっている。
新潟県湯沢町は先月、主要駅と宿泊施設を結ぶ交通網の整備に充てるため宿泊税を導入する意向を発表した。市が招集した宿泊業者らは、宿泊料金の実質的な値上げによる行政負担や競争力の低下を懸念する声を上げた。
宮城県内の宿泊事業者18団体は7月8日に会合を開き、県内全域で一律300円の宿泊料金を課す条例案を検討している宮城県に対し、宿泊税に反対する意見を文書で伝えた。
一部の自治体がすでに入湯税を課していることや、温泉業界がパンデミックから回復していないことから、団体は入浴客が直面する可能性のある税負担を懸念している。
宮城県大崎市の鳴子温泉郷旅館組合協議会副会長の藤田欽一さんは、この税によって宿泊客が隣県へ流出するのではないかと懸念している。
「ビジネス界は導入を支持しておらず、説得もされていない。 [of a lodging tax]、” 彼は言った。