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ウクライナ支援:日本はNATOと役割分担に努める必要がある

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北大西洋条約機構がウクライナへの軍事・財政支援を継続することを約束したことは重要である。

日本も非軍事分野を中心にウクライナをしっかりと支援していく必要がある。

ワシントンでNATO首脳会議が開催され、首脳宣言では加盟国は「ロシアによるウクライナ領の不法併合」を決して認めないと明記された。ロシアの占領を前提とした交渉には応じない姿勢を示したといえる。

宣言ではまた、ウクライナのNATO加盟申請は「後戻りできない道」にあるとも述べた。

昨年のNATO首脳会議後に発表された声明は、「条件が満たされれば」ウクライナにNATO加盟の招待を行うと述べるにとどまっていた。しかし、ロシアのプーチン大統領は先月、停戦の条件の一つはウクライナがNATO加盟を断念することだと述べた。

NATOが最新の宣言で「不可逆的な道」を強調したのは、同盟国としてプーチン大統領の呼びかけに従うつもりはないというメッセージを送るためだ。

首脳宣言ではさらに、NATOが来年ウクライナに今年と同額の7兆円以上の軍事支援を行う意向を明記。NATOは加盟国に対し、国内総生産に応じた拠出義務を課し、支援の実施状況を年2回NATOに報告することを決めた。

NATOがこの特定の支援メカニズムを決定したのは、ウクライナ支援に消極的だったドナルド・トランプ前米大統領が次の米大統領選挙の結果で再び大統領に就任したとしても、米国が枠組みから簡単に離脱するのを防ぐ狙いがあるとみられる。

ウクライナにとって戦況は極めて厳しい。米国では昨年、総額9兆円に上る対ウクライナ追加支援の予算案が議会に提出されたが、民主党と共和党の対立で成立は今年4月までずれ込んだ。

この間、ウクライナ軍は深刻な武器・弾薬不足に陥り、ロシア軍は東部の重要地域を次々と制圧した。今月初めにはキエフが大規模なミサイル攻撃を受け、小児病院などで多くの子供たちが命を落とした。

このままの状況が続き、ロシアが戦争に勝利すれば、今後、世界各地で武力による領土奪取を狙う勢力が出現する恐れがある。ロシアの侵略を失敗に終わらせることが何よりも重要だ。

ウクライナの要請で米国製F16戦闘機のウクライナへの移送が始まった。ウクライナ軍は今夏から同機の運用を計画していると報じられている。焦点はウクライナが国内の空域を再び掌握できるかどうかだ。

首脳会談で岸田文雄首相は、ウクライナへの攻撃用ドローン探知システムや遠隔医療機器の提供など具体的な支援策を発表した。日本は直接的な武器支援には制約があるため、民間支援を充実させる考えだ。

(読売新聞2024年7月14日号より)



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