ホーム Fuji アジア安全保障サミット:日本、米国、韓国が共同で果たすべき役割が拡大

アジア安全保障サミット:日本、米国、韓国が共同で果たすべき役割が拡大

29
0


北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の覇権主義的な動きはアジアの安全保障を脅かしている。地域の安定を守るためには、日米韓3か国の連携強化が不可欠だ。

インド太平洋地域の国防相や専門家らが安全保障問題を議論するアジア安全保障サミットがシンガポールで開かれた。この会議は英国の政策研究機関が毎年主催しており、今年は約40カ国が参加した。

大臣や専門家らが演説や会合で取り上げた主な問題には、台湾情勢や東シナ海、南シナ海に関連する問題などが含まれていた。

米国のロイド・オースティン国防長官は中国を念頭に「この地域における現状を侵食し、平和と安定を脅かす行動」に言及した。一方、中国の董俊国防相はワシントンに警告を発した。「台湾を中国から分離させようとする者は、結局は自滅するだけだ」と同氏は述べた。

中国は先月、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。南シナ海では、領有権をめぐって中国と対立するフィリピンの船舶に対し、中国海警局の船舶が放水や衝突を繰り返している。中国の独善的な行動が地域の緊張を高めているのは明らかだ。

日本の木原稔防衛大臣はオースティン防衛相および韓国の辛元植防衛相と会談し、サイバーや宇宙など新たな分野を含む三国合同演習を今夏初めて実施することで合意した。また、三国間の政策協議や防衛交流を「制度化」することでも合意した。

北朝鮮はサイバー攻撃で暗号資産を盗み、その資金を核・ミサイル開発に流用しているとされる。日本、米国、韓国が知見を共有し、北朝鮮のサイバー犯罪を阻止することが期待される。

3か国の協力体制は各国の政治情勢により揺らいでいる。各種の防衛協力を制度化し、挫折を防ぐことが重要だ。

別の会談では、木原外相と辛外相は、6年前に韓国海軍艦艇が自衛隊機に火器管制レーダーを照射した事件と同様の事故を再発防止するための対策で合意した。焦点は、日本と韓国両国が海軍艦艇と航空機の衝突を回避するための国際行動規範を順守することだ。

韓国が依然として事実関係を認めていないのは問題だが、北朝鮮が挑発を強める中、懸案を解決し、防衛交流を再開する必要があると木原氏は考えたのかもしれない。

会議に出席したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は記者会見で、中国がロシアのウクライナ侵略を支持していることを強調し、これを「戦略的誤り」と呼んだ。

各国の要人が集まる場でゼレンスキー氏が中国を名指しで批判したことは意味深い。中国はロシアとの関係を見直しなければ国際的な信用を失いかねないことを自覚すべきだ。

(読売新聞2024年6月4日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください