ホーム Fuji ふるさと納税:地方創生の原点に立ち返ろう

ふるさと納税:地方創生の原点に立ち返ろう

6
0


ふるさと納税は、ふるさとやゆかりの自治体に寄付することで地域振興を図るという本来の目的が軽視されていないか。政府は制度の問題点を洗い出す必要がある。

ふるさと納税をする際には、自治体の返礼品を紹介するポータルサイトを利用するのが一般的です。寄付者にとっては、好みの返礼品を探すことができるので便利ですし、自治体にとっても、効率的に寄付金を集められるというメリットがあります。

利用者獲得のため、「さとふる」や「ふるなび」など大手ふるさと納税サイトでは、寄付額に応じて買い物や商品交換に使えるポイントを寄付者に提供している。

これを受け、総務省は来年10月から、こうしたポイント還元事業者の利用を禁止する方針を固めた。自治体は現在、こうした中間サイトの運営者に手数料を払っており、その一部がポイント還元の原資になる恐れがあるためだ。

事業者側はポイント還元で利用者獲得や自治体からの手数料獲得を狙っているようだが、ふるさと納税とは全く関係がない。ポイントの原資が自治体に渡るはずの寄付金だとしたら問題だ。

厚労省が過当競争の是正に動くのは当然だ。自治体が寄付額に応じた収入を得られるよう、手数料引き下げなどを促すことが重要だ。

ふるさと納税制度は、自治体に寄付をすると、寄付額から2,000円を差し引いた額が住民税などから控除される仕組みだ。

2008年の制度開始以降、自治体からの返礼品人気もあって寄付額は増加傾向にあり、2022年度のふるさと納税総額は1兆円に迫り、年間約900万人が利用している。

しかし、制度の利用が広まるにつれ、さまざまな弊害も現れてきました。

過去には高額な家電製品などを提供する自治体もあり、返礼品を巡る競争が激化したことから、寄付額の30%以下の地場産品に限るルールが設けられた。

さらに最近では、自治体から返礼品の取り扱いを委託された業者が肉や魚の産地を偽装する不正が相次いでおり、返礼品に関する規定を守らない自治体もある。

また、ブランド牛やブランドカニなど、名産品を提供する自治体に寄附金が偏る傾向も続いている。特産品のない都市部の自治体は、他自治体への税収流出に悩まされてきた。

これらの問題を一つずつ解決し、ドナーと地方自治体の双方が節度を持って制度を活用・運用していくことが重要です。

(読売新聞2024年6月30日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください