ホーム Fuji 「衛星」打ち上げ失敗:中国とロシアは北朝鮮の傲慢さを許した

「衛星」打ち上げ失敗:中国とロシアは北朝鮮の傲慢さを許した

24
0


最新の「衛星」打ち上げは失敗に終わったが、日本の安全を脅かす北朝鮮の危険な行動に憤りを感じずにはいられない。

日本、米国、韓国は不測の事態に備え、北朝鮮への圧力を高めるためにあらゆる手段を講じるべきだ。

北朝鮮は「軍事偵察衛星」を搭載した新型衛星搭載ロケットを打ち上げたが、飛行中に爆発した。北朝鮮の朝鮮中央通信は、新開発のエンジンの故障が原因とみられると報じた。

ロケットは朝鮮半島西方の黄海上で行方不明になったとみられる。日本政府は発射当時、全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて沖縄県に特別警報を発令したが、すぐに解除した。

日本国内では被害は確認されていないが、爆発の場所によっては全国に影響が出た可能性がある。

北朝鮮は昨年5月と8月に偵察衛星の打ち上げに失敗したが、昨年11月に3度目の試みで衛星の軌道投入に成功した。北朝鮮の金正恩政権は年内にさらに3基の偵察衛星を打ち上げる計画を発表しており、今回の打ち上げはそのうちの1基目となる。

金正恩政権は成功するまで発射を続け、そのたびに技術を改良していくだろう。北朝鮮の脅威は増大するばかりだ。

北朝鮮が偵察衛星を宇宙に打ち上げることにこだわるのは、弾道ミサイルで米韓両軍を正確に攻撃するには衛星による監視が不可欠だという信念に基づいている。

北朝鮮は、この能力を維持することで、米国から金政権の安全保障の保証を引き出そうとしているのかもしれない。

しかし、根本的には、北朝鮮の弾道ミサイル技術の発射は国連安全保障理事会の決議に違反する。中国とロシアを含む安全保障理事会は、2006年から2017年までに北朝鮮に対する11の制裁決議をすべて満場一致で採択した。

しかし、その後、北朝鮮がどんな挑発行動をとろうとも、安保理は決議を一つも採択できていない。米国との対立を深める中国とロシアが拒否権を盾にさらなる決議を阻止してきたからだ。

安保理が機能していない以上、日米韓は安保理決議とは別に、各国が独自に課している制裁の強化を検討すべきだ。

ウクライナへの侵略を続けるロシアは、北朝鮮から武器を受け取る見返りに衛星開発の技術支援を行っていると報じられている。世界の平和と安定を担う安全保障理事会の常任理事国として、ロシアはもはやふさわしくない。

中国も朝鮮半島の緊張は米国と韓国の圧力によるものだとして北朝鮮擁護に転じている。中国が支持した過去の決議を忘れたかのような無責任な態度を取れば、国際社会における中国の信頼は損なわれるだろう。

(読売新聞2024年5月29日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください