日本のスポーツ映画は、ゼロからヒーローへと成長していくストーリーを描き、重要な競技会でクライマックスを迎える傾向がある。奥山宏監督の2作目の長編映画『マイ・サンシャイン』もこのストーリーを採用しているが、10代のフィギュアスケーターの成長物語として、ジャンルの標準よりも幅広く深い内容となっている。
監督のオリジナル脚本に基づいたこの映画は、珍しく個人的な背景から生まれたものでもある。奥山は7年間、スケーターとしてトレーニングと競技に取り組んでいた。この映画の大人のコーチは、献身的な池松壮亮が演じており、その話し方や動きは、映画でよくあるようなプロのイメージではなく、本物のプロそのもの。
スケートのシーンでは、奥山はスケートブレードを装着して自分とカメラをアクションに近づけたが、リアリズムと叙情性が稀に見るレベルで融合し、柔らかな照明が2人のスターを若々しい喜びと優雅さの哀愁に満ちた輝きで包み込むことで、その魅力がさらに引き立てられている。
